効くと聴けば試してみよう

 今回のテーマは「効くと聴けば試してみよう」がテーマです。人の身体とは面白いもので思ってもない処のツボで良くなったりするものです。私は友人達とフェイスブックをしています。私はあんまり投稿しませんのでもっぱら友人の近況を見ることが多いです。友達といってもやはり業界人(私では鍼灸関係)が多くなりますよね。その友人達が色々な記事や投稿をみて「いいね」をする。そんな情報も入ってきます。

 先日、気になる記事がありました。足底(あしのうら)のちょうど足の指の付け根が痛い時は「承山」穴と出ていました。ちょうど足の小指の付け根が痛いという患者さんがいたので試してみました。「アッ 先生マシになってる」と云われてちょっと鼻高々。
もう一人患者さん。右の足の裏の第2指の付け根が歩く時痛い。本人は魚の目だと思って自分で色々するけど一向に良くならない。右の足裏が痛いのでつい歩き方も悪くなり腰の調子も悪いのだという。先日「承山」穴でうまくいったので今度もやってみよう。治療してすぐは「少しマシ」だったけど次回来院時には「もう全然痛くない」とすごく喜ばれました。ただ「何か硬い感じ」と言われたので「実はそこに(足裏)お灸するといいんですよ。でも足の裏って皮が分厚くなっているし感じにくいです。手っ取り早いやり方はそのに線香でちょんちょんと鳥がついばむ感じで当てていけばうまくいきます。熱くなるまでね。」終わってみるとスッキリしたようです。

 鍼灸というのは奥深く臨床経験が多くともわからないこともたくさんあります。でも患者さんを治すのがお仕事なのでどうすればよくなるか実際に臨床ですること、あとは先人の書かれた本を読んでそれをヒントに治療していくことが大事です。

 ずっと来院していただいている患者さんのお孫さん、リウマチだということ。鍼灸うえだに治療に来たいとのことで「ではメモを持ってきてください。」実はお孫さん 鍼灸師なんです。そこで初診の前にリウマチに効くツボを教えて(一緒にこの本の何処に書いてあると確認)、あとで自分で治療してもらう。私もその患者さんも勉強になるのでそんなことをしています。
効くところは触り、反応があれば治療する。そんなことを日々繰り返しています。

またまた逆子治療うまくいきました。

 随分と妊婦さんの治療はなかったのですが、先日「逆子をお灸で治してください」と依頼を受けました。久々の治療なのでどうかなと思っていましたが、うまくいきました。

 妊婦さんは8ヶ月目。今回2人目の妊娠で逆子。病院の先生は「もう少ししたら逆子体操しようか。」という感じだそうで妊婦さんの方が「逆子は嫌だ。帝王切開するのもイヤ。」って感じで病院近くの鍼灸院を検索すると鍼灸うえだがヒット。私としては逆子治療が初めてでないので嫌ではないのですが、お母さんの治療成功の期待感が半端ない。今までの治療では比較的1回で治るというケースが多いのでまあいけるかなという感じでした。
 今までの臨床経験に加え今回は大きな味方が・・・。毎年年末にはまた1年治療する中でわからないことも多々あり勉強する為に本を買うんです。今回買った本は鍼灸界の大御所 首藤傳明先生の「首藤傳明症例集」。私の治療法とは全く違うものですが勉強になります。特に逆子については詳しく書いてある。私が使わないツボ「三陰交」で逆子が治るとある。触診の仕方もあり実に本に書いてある通りで今回の治療は結果を見ずとも多分大丈夫だろうと思った逆子治療でした。

 私の妊婦さんの治療はほぼ決まっていて まず鍼は刺さない お灸をする その後棒灸を加える という感じです。逆子治療においては 反応点の鍉鍼で刺激します。鍉鍼が終わればお灸です。背腰部に棒灸をします。腰部特に仙骨部の棒灸が大切です。腰部・仙骨部のお灸や棒灸で赤ちゃんがすごく動き始めます。その後足の至陰穴にお灸をします。(反応があった方だけ)。今回 三陰交穴も入れましたが、至陰穴で反応があった方に三陰交穴でも反応があり妊婦さん自身も同じ押さえ方をしても左右の痛み方が違うと言っていました。そして三陰交穴にもお灸しました。その後お母さんが「蹴られているところが違う気がする。」って感じになったのですが、検診でハッキリとさせようということになり・・。結果 バッチリ逆子が治っていました。すごく期待されているのでその分緊張感。うまくいって良かったです。またやっぱり勉強しておくといざという時は助かると思った症例でした。

今度の日曜日どこに行く?

 「今度の日曜日何処に行きますか?」とか「この間の日曜日何処か行きました?」なんてやり取りが鍼灸うえだで頻繁にあります。昨日今日のようにむっちゃ寒いと「家にいます。」も有りですが・・・。別に患者さんの日常にそこまで興味はありませんので・・・。この会話で何がわかるかというと胃腸が良い状態か悪い状態かがわかります。だから訊くんです。胃腸の悪い人は基本的にやる気がないので休みの日はゴロゴロか、何処かに出掛けると体調が悪くなるのでよっぽどの用事がなければ家でゆっくりということになります。今まで何処にも出かけたくない人が「どっかに行ってきた。」と言われると少し良くなってきたなと思うことが多いです。

 12月から来院されている患者さん、なんとなくしんどい、なんとなく気乗りしない といった症状。もちろん病院にも行ったけど「何ともない」と言われる。以前のブログで書いていますがやはり「お腹のガス」なんです。お腹に溜まったガスを自分で押し出すことができずしんどいんです。不定愁訴で片づけられる・・。これはやはり胃腸の働きが悪いんです。自分でできること、ウォーキングなんかしたら内臓が刺激されて少しガスが出るのでましかな。でもなかなか自分では良くなりません。やはり鍼灸が一番です。

 この患者さん、現在1週間に1回のペースで来院ですが、年明けに「先生、お出かけしてきました!」と言われる。すかさず「だんだん良くなってきましたね。」「エッ・・。」「お休みに出かけることができるのはだんだんと良くなった証拠ですよ。実際身体が良くなっているのを自分で感じるでしょう?」「そういえば食事の時にゲップも出なくなったし身体も軽くなった気がします。」その後に衝撃カミングアウト。「今までお友達からのお誘いは断ることができなかったのに(相手に対して悪い)断れた。」とのこと。「鍼灸を始めてから身体も良くなってきたけど今までと考え方を変えることができてきたような気がする。」いままで相手の事ばかり考えて体調が悪くなったこともあるとか。
 私は患者さんに「気にしい(自分の事より相手の事ばかり考えたり、どうなるかわからない先の事について一生懸命考える人の事)は治ります。身体が良くなることと考え方次第ですよ。」といつも言っています。

身体も考え方も楽になっていただければ鍼灸のやりがいがあるというものです。

すごいぞ パイオネックス

今回のテーマは「すごいぞ パイオネックス」です。パイオネックスというのはセイリン社製の針のことです。針と言っても円皮針といってテープに貼りついた針をツボに貼るだけのことですが・・・。

 12月26日頃でしょうか、年末で患者さんがいつもより多いことと、鍼をするのでそこそこ服を脱いでもらわないといけないので暖房(特にエアコン)を使っているとだんだん治療している自分が逆上せてきた。といっても一人で治療しているので「肩背部は無理だ!」そこで思いついたのがパイオネックス(通称・置き鍼)。自分の足の三里穴にパイオネックスを貼ってとりあえず逆上せがなくなり一心地。それから足の三里穴にパイオネックスを貼っていることすら忘れていました。ふと気付くまで・・・。その間ガスが出るわ出るわ、便通も調子いい。こんなに調子良かったかなと思うくらいでした。ふと気付くと・・、もう年明けて3日くらいになってました。これはよく効いた!と実感。これによってピーンとひらめき。

 実は昨年大腸を手術された患者さんが便通に悩んでいるんです。手術後、急にお腹が痛くなってトイレに行くけどすぐには出ない。それが1日何回も繰り返されるとのこと。正月休み明けにその患者さんは来院。自分の実体験を告げ「治療の最後にパイオネックスを貼りましょう。」と提案。患者さんも快諾し、治療+パイオネックスをしてみました。患者さんのお話だと「治療後4日くらいは今までお腹が痛くなっていたけど痛くなく比較的早く出る。ただそれ以上になるとまた前と同じ症状になる。」とのこと。今までよりはお腹の痛みもましとのこと。これからもパイオネックスを貼ることでお腹のリズムが正常というか以前のようになればしめたものだと思っています。
 この患者さんは1週間に1回ペースで来院なので7日はツボの刺激がだんだんと慣れてきて効目が低下するのではと考えています。今は毎回違う(反応が大きい処)にパイオネックスを貼るようにしています。
治療は継続中ですのでまた患者さんに変化がありましたらこのブログに掲載します。乞うご期待。

小児はりでこんなことしています。

 小児はりといえば 子供に刺す鍼ではなく撫でるように刺激を与えることで知られています。私も有名な小児はりを習いましたので鍼灸うえだでも撫でるような刺激の鍼をしています。ただそれだけではなくて・・・。小児はりだけでは無理な時、よく線香灸を使います。鍼灸うえだではその線香灸の代わりに「棒灸」。けっこう小児には人気です。「気持ちいい~」って幼稚園児が言うんですよ。小児はり+棒灸という組み合わせで治療しています。
もちろん治療効果も大きくママ・パパから喜ばれています。以前のブログにも書きましたが 小学1年生の毎日夜尿症が2回で治ったのもこの棒灸のおかげです。

 これだけでも「子供にはり灸やりすぎ!」と言われるところですが、昨年末から「子供にはり」しています。その子は小学2年生 体重58キロ。でっかいなあ。鍼灸うえだの鍼の中で一番細い鍼を刺しています。「気持ちいい~」今からこれやったら将来どんだけ肩こりになんねんて感じ。年明けには便秘いわゆるフン詰りで「お腹痛い」とお母さんと来院。「小児はりじゃ無理だからもう鍼刺すで!」「エ~刺すの、嫌だ!」「痛かったら痛いと言いなさい。痛いことはしないから。」「じゃあ やって。」こんな会話が交わされ鍼が1本、2本、3本と。結局8本背中に刺さってる。痛いとも言わない。ついでに棒灸も加えて。ハイ終了。お母さん時間みていて20分。「もう小児はりじゃないね」と言っている。10分くらいお腹痛いと言っていたが急に「トイレに行く」。帰ってきたらスッキリ。いっぱい出たそうです。
もちろん撫でる鍼だけでよくなる子どもさんもいるけど、もうちょっと頑張らないと無理な子どもさんもいるように思います。ママやパパには喜ばれていますが・・・。まだまだ修行・勉強が必要だと思います。

車酔いにはこのツボを使おう

 新年明けましておめでとうございます。今年も鍼灸うえだでおきたはり灸に関するブログを書いていきたいと思います。
 私はお正月は京都に干支に因んだ神社・仏閣に初詣に行くと決めています。今年は八坂の庚申堂と新日吉神宮(いまひえじんぐう)に行ってきました。あんまり干支に因んで初詣に行かれる人は少ないようで八坂庚申堂は人通りが多いので大勢でしたが、新日吉神宮は人がまばらでした。平安神宮も行ったのですがいつもすごい人です。

 私の初詣の件はこれくらいにして 年末に患者さんより「初詣の時車で行く。でも車酔いする、できたら薬は飲みたくない。どうかならないか」という相談を受けていました。いつもは車酔いしない人がするのは、全体的に体調が悪いか、胃の調子が悪いかだと思っています。その患者さんうちに来るまでは調子があんまりよくなかったけど週1ペースで来院させるようになってから体調はすこぶる良くなったと思っていたのですが、突然のカミングアウト。なんとかしてあげられないか?頭をグルグル回転させて・・・。そうだ!と思いついたのが円皮針。(皮膚に張り付けておく鍼なんです。先のオリンピックでも羽生くんが金メダル取ったとき胸に付けてたようで。なんでも羽生君は呼吸器系が弱くて付けていたとか)現在は便利になっていてセイリン製パイオネクスという製品名であります。これを車に乗る前に貼ってもらおう。ツボさえ教えておけばOKだし。ということで教えたツボが「内関」(ないかん・手関節掌側横紋上2寸)
年明けにその患者さん来院。「先生!車酔いしませんでした。良かったです。」と喜ばれました。良かった、よかった。実はその内関というツボを刺激すると車酔いや船酔い、変わったところでは妊婦さんの悪阻予防グッズとしてリストバンドにぽっち付けて売ってたりするんですよね。そうそう以前鍼灸師会で福井に旅行に行った時船釣り体験をしましたが、一発で船酔いして多分内関穴を刺激しても無理でしょうね。一応私は瀬戸内っ子ですから。日本海の荒波には弱い。このブログを読んでいる人で車酔いの人は試してみて下さい。

新年早々風邪をひきました。風邪の治療について

新年早々に風邪をひいてしまいました。新年明けるとすぐの日曜日には「臨床家育成会」という治せる鍼灸師を育成する会なのですが、それがあります。一応講師ということで教えているのですが、やはり技術を伝えることは難しいことです。日曜日だけではもったいなので前日より泊りがけで時間の許す限り鍼灸実技をしたり日常の問題に答えたりしています。多分お泊りグッズが少なくて寒かったのだと思います。日曜日の夕方より少しずつ悪寒を感じてきて・・・。
 帰宅するとすぐさま下着に貼るカイロを張り付けて(身柱というツボ・腰部4・5腰椎辺り)寝込みました。寝たのが6時30分くらい、目が覚めたのが11時頃。起きた感じではこれでは風邪が治りそうにない、困った。まだ少し寒気がするし、喉も痛い。鍼をするしかないと判断した私は寝ている2階から1階へと移動。喉が痛いのは足の内果の下(照海穴)でいけるけど少しアレンジして内果の斜め後ろに鍼を刺すといきなりマシな感じ。あとは風邪気が取れるように膝の下(足三里穴付近)に鍼を刺す。一人で治療するのだから足か手か頭くらいしかありませんから・・・。翌朝起きてみるとまだ風邪は残っていましたがなんとか。実は1月11日(祝)は仕事だったのです。予約制なのでばっちり予約も入っていて。治療中は鼻水が少し出てきて・・。仕方ないので頭部に鍼して一応止めておこう。線香の煙の刺激で咳が出て「先生大丈夫?」お帰りの際には「お大事に~」と言われ何か変な気分。

薬は飲まずにどこまで鍼灸で試せるか今年も頑張ります。 

鍼灸うえだの今年の成果について

一人で鍼灸院内で活動していると何かとマンネリ化するもの。また治療もワンパターンになりがちで一向に治療効果が上がらなくなる。昨年はどこかに講習会に出掛けて行って新しい発見を見つけてきました。代表的なものに頭皮針があります。
 今年は講習会には参加せず、自分なりに勉強したり研究してみました。成果の代表例が「温陶灸器」です。今年の初めより八尾の陶芸家さんと一緒に簡便且つ効果のあるものを目指し1年がかりで使いやすい道具を作ることに成功しました。こちらの注文通りの試作品を作ってもらいそれを実際に使ってみて不具合を治しての繰り返しでした。使ってみると坐骨神経痛の患者さん、下半身が冷える患者さんには腰への温陶灸器がとても効果的です。またガスが多い人や身体自体疲れてる人には身柱に温陶器をすることで症状の緩和ができます。
 もう一つは仙骨への鍼灸刺激です。腰痛や坐骨神経痛の患者さんの治療効果が悪い時に色々と調べてみると仙骨部に着目して探してみると効果的な治療点が見つかります。このおかげで腰痛患者さんの治療効果が上がりました。治療も楽になり助かっています。
 ついでにもう一つというと 小児のイライラに百会穴への刺激。ブログでも書いていますが朝起きて暴れる小児に百会に小児はりをしたら次の日からピタッと治まりました。自分でもすげ~と思ってしまいました。これまたブログに書いていますが 夜尿症2回で完治(多分)。

患者さんを治療させてもらって色々なことがわかる・できるようになる。大変ありがたいことです。ブログを書きながら今年の印象に残ったことを思い出しています。来年もより一層患者さんが良くなるよう精進します。
まだまだあと二十日くらいあるので気を引き締めていきたいと思います。
今年最終までまた患者さん治療面白ネタがあればブログにアップします。

ものもらい(麦粒腫)を治す

今回のテーマは「ものもらい(麦粒腫)」です。私も小さい頃にはよくできていました。目の周りで炎症が起きて大変ですよね。一度成りかけると「あんまり触っちゃいけない」とか言われて、でもやっぱり気になって触るともっと炎症がキツくなったりしてよく怒られた記憶があります。鍼灸学校で経穴の授業で「ここにお灸するとものもらいは治る」と教えてもらい、こんなこと知っていたら昔苦労しなかったななんて思ったものです。そのここというツボは「温ル(大腸経)」のツボです。鍼灸学校の時分はものもらいはもうできなかったので使うことも少なかったです。大師はり灸療院では「手三里」これも大腸経ですが ここがよく効くと教えてもらいました。どっちでも効けばいいんですけど・・・。

先日肩こり患者さんが「昨日目に埃が入った、それから左目を開ける時違和感がある。」とのこと。左右の目を開けてもらい診てみると左目が充血している。患側左側の手三里の反応を見ると明らかに右の三里とは違う。取りあえず手三里にお灸を据える。次にベッドに寝かせたまま頭側から患者さんを診てみると左まぶたが腫れている感じ。患者さんにこのことを伝えると患者さんもそんな気がすると云う。左目周囲を触診していくと左目外方が張っている。そこで鍼を目の内側(晴明)、外側(瞳子リョウ)にする。といっても目の周りの皮膚は柔らかくまかり間違ってパンダさんになっても困るのでセイリン製のすごく細い鍼(J15タイプ03)で刺入。細いので鍼の痛みなど無し。少しの時間置針する。鍼を抜いた後、「左目の感じどう?」と訊くと「目を開けるのに違和感なし」ものもらいの治療はうまくいったかなという感じです。

今回はものもらい(麦粒腫)のなる前だったように思います。鍼灸の良いところは 「なる前でも治せるところ」最近よく聞く「未病を治す」ということ。結果 患者さんが良くなればいいんです。

はり灸は皮膚にアプローチするもの

 鍼灸治療は鍼灸院の数だけ治療法が違うと云われます。同じ屋根の下、同じ流派で治療していたとしても同じことはできません。使うツボが微妙に違っていたり鍼の深さが違ったりで治療効果も違ってきますし、患者さんの受けた感じも異なります。なかなか奥が深いですね。
 私はよく本屋さんに行きますが必ず東洋医学系の本が置いてあるところに行きます。どんな本が置いてあるのか、一般の方にどのようにはり灸を紹介しているのか興味があります。よくこの症状にはこのツボなんて本があります。私も読んでいて「こんなところが効くんだ~。」なんて読むこともしばしば。その一方で「本の通りツボを刺激したけど変化なかった!。」ということもよくきく話です。何が違うんだ!簡単にいうとそのツボが身体を変化させるスイッチになりうるかということ。押しても撫でても何も感じ無いようなツボはダメってことです。

 私は20年以上大師流という治療法をしています。この治療こそ「はり灸は皮膚にアプローチするもの」といったものでしょう。鍼をする処は皮膚の過緊張部位、お灸する処は冷えのある処・湿った処。本当に気持ちの良い治療ができる、もちろん鍼刺激・灸刺激は患者さんにあった刺激ができないといけませんが・・・。

 先日腰痛の患者さんが来院しました。いつもは三稜針(切る鍼で吸い玉)をしています。この日どうもいつもと皮膚の感じが違う。それもそのはず1週間前にも治療していました。でも今回は三稜針の皮膚ではない。患者さんに尋ねても三稜針は痛く感じるらしい。今日は毫鍼で挑戦とばかりに腰の治療を毫鍼にて治療しました。8割方良くなったかなと思い患者さんに痛みが出る動きをして改善をみてもらう。患者さんにみてもらう前私には気になるところがありました。それは腰のそこだけが湿っている感じ、すごく変な感じでした。今まで触診していても感じなかったのに・・・。案の定、患者さんは私が気になっているあたりの動きが悪い、痛みを感じると訴えました。もう一度うつむきに寝かせその部分にお灸。その患者いつもは皮膚が乾いているのでお灸はあまりしない。今日は特別だからお灸するとばかりに7壮ばかり据えたのでした。皮膚の湿りがなくなり気になる感じもなくなりもう一度身体を動かす再チャレンジ。すると全然痛くない、動きスムーズとのこと。今更ながらはり灸は皮膚にアプローチするものと実感したのでした。素直に触診して素直に感じ素直に考えることが大切と思った症例でした。