吸い玉は効くのか

 最近はブログを書くようないいネタの患者さんが来られず、何かブログを書かないとという強迫観念に囚われている今日この頃です。ということで鍼灸うえだで使っている「吸い玉」について書いてみましょう。

「吸い玉療法」というと「あぁアレね。」と皆さん想像はつくようです。身体にいっぱいガラスみたいのをくっつけるやつです。最近ではドライカッピングとかウエットカッピングなどと横文字が並ぶようです。ドライカッピングは字のごとく乾いているつまりカップを身体に付けるだけ、一旦カップで血液循環を阻害した後解放し前より血流を良くする方法。鍼灸うえだではウエットカッピング、三稜針といわれる鍼で皮膚を少し切りその場所に吸い玉をくっつけて血流障害を改善する、その際には少し時間をおいただけで固まるような血液が出て来ます。その血液をとった後はすごく身体が楽になります。この鍼灸医療行為を違法という人もいますが古来より鍼灸の治療の中で行ってきた歴史があります。刺絡という方法です。ですから鍼灸学校で刺絡療法そのものを習わないこともあります。現在では刺絡学会もあり刺絡講習会というものも存在しています。刺絡とはその場所だけ吸い玉をしますので血液をとり過ぎということもありません。ホームページでも鍼の紹介で書いているようにこの切る鍼が心地よいという人がいます。こういう人は一般的な刺す鍼は痛いということが多いのです。また刺絡の適する人は切った傷跡が自然と塞がります。治療後から切った跡から出血ということはありません。ただ器具の滅菌消毒や血液の処理など的確にしなければなりませんけど。

 私の習った大師流はり灸法は毫鍼(刺す鍼)三稜針(切る鍼)お灸という三種類の刺激を使い分けるという方法でした。患者さんとしては切る鍼 三稜針の患者さんも多く来院されます。自分で「吸い玉して欲しい。」という方もおられます。ただ吸い玉ができるかどうか判断して使用しています。中には興味本位で「吸い玉~。」という方もおられますので、三稜針吸い玉で治療したら早く良くなる方にはお勧めします。でそうでない方にはお勧めしません。

今回のテーマ「吸い玉は効くのか」でいくと良く効くと思います。以前にもブログで書いています 打撲や打ち身、むち打ち症状 には効果てきめんです。全身治療の中で三稜針を多く使う方法やその場所だけ刺絡するといった使い分けをしながら患者さんが少しでも早く治ることを目的にしています。
鍼灸うえだのホームページに吸い玉の写真が載っておりそれを見た方が「吸い玉して。」と来院されました。その患者さんは三稜針が合う方だったので吸い玉をするとすごく楽になったと喜んでおられました。

よく「鍼が合わない」という話を聞きますが私に言わせれば合う鍼を使っていないということでしょうか。そしたら来る患者さん皆良くなっているのかという極論がでてきます。患者さん全部がすごく良くなっているわけではない。それは使うツボが良くないからなのか。何が悪いのか。ただ鍼が「痛い」ということはあまりない。鍼灸は「気持ちいいですよ」とは言えるんですけど。現在重症の坐骨神経痛患者に苦労しているのでこんなブログの終わり方・・・。いつかこの成功例をここに載せます。

顎関節症の治療について

 最近「顎関節症」という言葉をよく耳にしますね。やはり鍼灸院にも通って来られることも多いようです。何したわけでもないのに急に顎の状態が悪くなる、例えば口を開けづらくなったり口を開ける時カクカクと音が鳴ったりして、エッ何でと思ったりします。顎関節症だと口腔外科に行ったりするのかな。一般に、顎運動障害、顎関節痛や関節雑音が単独もしくは複数合併して発現する(これを顎関節症の主要3症状と呼ぶ)。疼痛は主に顎運動時に生じるといわれています。
 何年も前になりますが私も衝撃的に・・・。朝食を摂ろうとしていた時口が開かない。どうしたんだ!となったことがあります。前々から口を開けるとカクカクと音が鳴っていたのですが 目の前の食事が摂れないショック。もう口は開かないの、どうしよう。取りあえず大きく口は開かないのでスプーンで流し込むように食事を摂取。あとは鍼灸師なのでどこかに治せるツボがないか試行錯誤。顔の事なのでやはり首かな。ア門穴(首の盆のくぼにあります)の少し下辺りを親指で押してそのまま首を後に倒してまた首を元に戻してみて口を開けると違和感なく開いた。やっぱり顎関節症の治療穴は首にあると実感したのでした。

 さて先日常連の患者さん、肩こりとか腰痛とかがいつもの主訴。この日は「先生、口を開ける時ここの辺り痛いんです。(下顎骨)」左右比べてみるとやはり違う。「うん顎関節症かな。じゃあ今日はこの治療もしとこう」と答えて治療をしていて「先生!顎関節は?この辺りに鍼しないの?」と訊かれ「いや顔はやめとく、首にするよ首。もう一回うつむきで寝てみて。」そして首の一点一穴に鍼をしました。「鍼が痛かったら言ってね、少し入れるから。」1cmくらい入れたと思います。「それが開けると痛いところ(下顎骨)にピーンときた。」「はい口開けてみて。」「アッ口開けても大丈夫、痛くない。悪いのは首だったんですね。」「はい、そうです。」

首が凝るとか首が悪い(むち打ちなど)といろいろな症状が出るんですよ。解決方法はじゅうぶんな睡眠でしょうね。

パワースポット分杭峠に行ってきました。

鍼灸うえだのブログは色々な人に「はり灸ってこんな症状にも効くんだ~。」ということを言いたくて鍼灸の話題に特化しています。今回の話は「パワースポット」。「気」つながりでお許しを・・・。

今年はシルバーウィーク、お休みが多すぎて自営業にはちとつらい。9月20日は敬老の日として65歳以上は無料で8人治療させていただきました。21日はとりあえず通常治療して22・23日とシルバーウィークのお休みをいただきました。折角のシルバーウィーク ここに行ったぞという感じでないといった気がしない。さて何処に行こうかと思っていたら以前テレビで紹介していた「分杭峠」を思い出した。パワースポット好きの奥さんは即OKで晴れたら行こうと決めていた。でも分杭峠は長野県、結構遠いよね。朝5時前に起きると今回は奥さんもう用意していた。いつも遅いのに・・・。5時30分八尾インターに入りそこから4時間半で分杭峠へ。スマホで「分杭峠」でナビしたら峠の近くまで連れて行かれた。対向車が来たら困るくらいの道で峠登るのつづら折りの処なのに・・・。対向車来たら大変なので急いで峠下りてシャトルバス乗り場へ行きました。駐車場に行くと車があるわあるわ、みんなよく知っているのね。30台位はあったかな、まだ10時なのに。シャトルバスに乗り込みいざ分杭峠にレッツゴー。途中車に出会ったけど行き違えるのが大変そうでした。分杭峠到着。はっきり言って山の中という感じ。「気場」が二つあるらしい。一つは水場、一つは少し斜面を下った所。じゃあ取りあえず水場の方。平坦な道を歩く。
 この分杭峠 地球規模で考えると「日本3大パワースポット」だそうです。あとの二つは富士山(地殻エネルギーの放出地)聖域の岬(石川県の能登半島の先端 寒帯ジェット気流と亜熱帯ジェット気流が合流する地点)。分杭峠は0磁場(磁場の変動地)なんだそうです。方位磁石が定まらないって感じ。健康に良い「気」を発生させる0磁場ところだそうです。それくらいの予備知識を持って行ったので始終「気」を感じるように心がけていましたが結局よくわかりませんでした。感じたことはその水場では何となく雰囲気が 伊勢神宮の内宮の中にいるようという感じ(表現として妥当かわかりませんが)背中が軽くなったという感じは受けました。奥さんも水場では「ここなんか雰囲気違うよね。」と言っていました。もうひとつ斜面を下りた気場に行きましたが「気」にちてはあんまりよくわかりませんでした。それでも峠に2時間くらい居ました。気が見えるものでもないですし先程書いたように感じるものでもないので「こんなものか」という程度です。残念。

 鍼灸の世界では「気」というものが存在します。「気」を重要視される先生もいると聞きます。私は患者さんの前では「気」という言葉は使いません。自分でもわからない事柄を使って患者さんに説明することは失礼だと思っています。以前勤めていた大師はり灸療院の院長と二人でアメリカで大師流小児はりの講習会を行いました。2日間の講習会でした。終了後講習生が興味深いコメントをしましたのでよく覚えています。”今まで参加した日本の鍼灸の講習会ではよく「気」という言葉が出てきた。2日間の講習で「気」という言葉の出なかった講習会は初めてだ。” 「気」という言葉が出なかったのが良かったのか悪かったのかわかりませんが、彼はそう言っていました。
 今回の「分杭峠」は大きく言えば「気」の存在を見つけるものでしたが、私のような凡人にはわからないということがよくわかりました。ちなみにこの分杭峠を見つけたのは中国の気功師に人だそうです。
 

夜尿症にはやっぱりお灸。

今回は夜尿症のお話です。以前にもブログで「夜尿症にお灸が効く」ということを書きました。やっぱりお灸が効くんだと実感しました。その模様をお伝えします。
現時点で治療は3回です。3回目の時に治療前のお母さんのお話ではおねしょはしていない(1回失敗)との事でした。つまり2回でということ。なかなかおねしょが治るには驚異的です。私も初めてのケースでびっくりしています。
 患者さんは小学1年生の女の子。自分でもおねしょが気になるということで勇気を奮って鍼灸院に行くと決めたとの事でした。夜尿症の症状はというと、毎日する。寝て12時ごろには一度しているがしたことに気付かないでそのまま寝ている。多分一晩で2回くらい出るよう。最近はお昼も気になってトイレに行く回数が増えている。なかなかの重症です。
お母さんとお姉ちゃんと一緒にニコニコして来院されました。一通り小児はりを説明してから「じゃあ鍼してみる?」と治療をうながすと目からポロポロ涙がこぼれます。手に小児はりをしてみて「痛かったら言ってね,すぐ止めるから。」小児はりの撫でる鍼にいちおう納得。気を取り直してベッドで仰向けで寝てもらう。まずはお腹を診て・・・。お腹にガスがいっぱい。このお腹にガスが多いことがおねしょをしても気が付かない、もちろん起こしても起きない、いわゆる爆睡をしてしまう原因のひとつです。治療としてはこのガスを減らすことがひとつの課題。お腹、足、手をして次はうつ伏せになって・・・。背中を診ていきます。まず身柱あたり。小児はりの基本 身柱 命門 の重要穴。少し湿りを感じる。背部を小児はりで撫ぜていきます。あともうひとつ気になるところ。仙骨S2辺りがやはり湿っている。身柱より湿りがきつい。全体的に小児はりをした後、棒灸を取り出して患者さんさんに見せて「こことここにこんなのしたいんだけどやっていい?」と尋ねるとまた涙がポロポロ。また手に試してみて納得ずくで身柱とS2辺りに棒灸。鍼灸うえだの棒灸は皮膚に近づけるのではなく、身体の上に置いたタオルの上からポンポンと棒灸を当てるのです。この子もそうですが皆さん「気持ちいい~。」結局のところ小児はりも棒灸も気持ちが良かったそうです。
2回目に来院されたときお母さんが「起こしたら起きました。」爆睡ではなくなったのねって感じ。まだおねしょはします。でも出ている尿の量が少ない感じです。(たまに量るそうです)治療としては初回と一緒です。小児はりと身柱とS2あたりに棒灸。
3回目来院。「おねしょしなくなりました。前回に治療から1回失敗しただけです。」とお母さん。「水分制限は寝る前は飲まないようにしているがあとは普通にしている。あと病院に行ったら膀胱に溜められる量が倍くらいになっていた。」とのこと。すごくよく治療が効いたという感じです。もちろん治療で涙がポロポロということもありません。喜んで来院しているとのこと。
今回の夜尿症の治療で思ったことは線香灸より棒灸(鍼灸うえだ方式)の方が効果的だということと患者さんが小学1年生でしたがきちんと説明して納得の上治療したことが良い結果を生んだのではと思っています。今まで夜尿症の治療をしましたが、2回でほぼ良くなったということはなかったので感動しました。レアなケースかもしれませんが小児はりにまた自信がつきました。

温陶灸器、活躍しています。

ホームページでも紹介している「温陶灸器」ですが、最近はなかなかの活躍をみせています。
温陶灸器の便利なところは誰にでも灸頭鍼の温かさ(輻射熱)を感じてもらえることです。灸頭鍼は字のごとく鍼の頭にお灸を置くですが、例えば鍼が深く刺せない(鍼の上にもぐさを置くためある程度深く刺さないと安定しない)鍼に置いたもぐさが気になって治療に専念できない、ある程度太い鍼でないとたわんでしまう などといったことがあります。それを解消できるのが「温陶灸器」です。ただ皮膚との距離は変えられないといったことはありますが、簡便さにおいてはこれほどのものはありません。点灸(もぐさでお灸する)に比べての熱量は格段でありこの時期の冷えを一気にとってくれます。ただ鍼灸師が使っていてまだまだ改良の余地があります。昨日も陶芸家五條氏と打ち合わせをし使い勝手の良いもの、効果の高いものに仕上げている最中です。今年1月から製作に入っていますが完成には至っていません。
この未完成の「温陶灸器」ですが活躍しています。以前ブログでも紹介した「女性の薄毛治療」。温陶灸器の頭に載せるやつです。最近髪の毛のコシがなくなってすぐペシャンコになる60代女性。女性の薄毛良くなりますよというと是非試したいとのこと。といっても温陶灸器頭用を頭に載せてもぐさを置くだけですけど。頭にハンドタオルを置いてその上に温陶灸器を置く。そして患者さんが熱いと思うまで温陶灸器の上にもぐさを燃やす。(ちなみに私の治療院はマンションで煙が出るのが嫌なので炭化艾を使います)4月から5回全身治療と薄毛治療をしたところ先日6回目の時「髪にコシが出てきた、櫛でといているとき違いが判る。」と言われました。確かに髪がペチャンコにはならなくなりました。頭皮に直接お灸する方法もありますが、うまくやらないと髪の毛が少し燃える(少ない資源なのに・・)頭皮にお灸の痕が残る(ドラゴンボールのクリリンほどではないけど)温陶灸器にもぐさを置くだけはやっぱり楽だと思います。
あと先に書きましたが、腰の冷えで調子が悪い患者さんが多いです。点灸もいいですが温陶灸器でじっくり温めるとすごく気持ちが良いそうです。最初温陶灸器を使うことを説明していると大抵「エ~そんな熱いし・・・。」と言われますが実際にやると炭化艾が燃え尽きるまでじっとされています。「気持ちいい~」みたいな。

これだけ日本も暑くなるとクーラーなどで冷やして当然です。でも身体は冷やしすぎると体調を崩すことをお忘れなく。
温陶灸器を使えない人は熱いお風呂に入るのもいいですよ。

やいと祭り行ってきました。

やいとまつり2015私の7月の恒例行事「やいと祭り」に行ってきました。やいとって?やいととはお灸の西日本の方言だそうです。場所は滋賀県米原市。昔は中山道の宿場町の柏原宿(かしわばら)ここでやいと祭りは行われるんです。なんでやいと祭りなの?古来よりお灸のもぐさは江州(昔の近江・現在の滋賀県)伊吹山産が一番と言われてきました。この柏原宿は伊吹山の麓 艾屋さんが多くあったそうです。今でも亀屋左京という艾屋さんがあります。以前ダイコクドラッグで亀屋左京の艾を発見して感動しました。地元の祭りでは屋台がでたり魚つかみがあったりと老若男女楽しめますが、やいととはほど遠い。そこで鍼灸の普及もかねて私たちが鍼灸治療をすることになったのです。

治療する場所は2カ所。1カ所は冷房の効いた部屋の中、かたや炎天下の中小学校の運動会の時のテントの下に簡易ベッドを作りそこで治療する。私は大抵炎天下の治療が多いのでこれぞ夏の風物詩といった感があります。鍼灸学生も参加してくれてせんねん灸に代表される台座灸を道行く人に体験してもらう。ほんとやいと祭り!って感じ。また小児はり体験もあり、お祭りに子供はつきもので 小児はりを体験するとおもちゃがもらえる仕組みでみんな小児はりを一度は体験するってわけ。色々と盛りだくさんの内容でやいと祭りに今年も臨んだのでした。

大人治療の時間は30分。問診をして具合の悪い処を訊いてそれが改善するよう鍼灸治療をしなければなりません。私が参加するのはこの30分で如何に良い治療ができるかいわば武者修行のようなものです。最後には「どうですか?」と治療を受けた方に訊かなければなりません。そこで良い答えをもらえるかどうかが一番重要です。今回の結果はまずまずでした。治療内容は 肩こりや腰痛といったもので紹介するほどのものではなかったので割愛します。
心に残るものとして 最後に肩こり・腰痛をした患者さん(20代女性)が私の居ない処で言った一言。「おっちゃんに治療してもらって良かった!」良かったって言ってくれるのは嬉しいけど、おっちゃんって間違いではないけど、せめておじさんとか言いようがあると思うが・・・。

はり灸三昧の2日間でした。また来年も参加します。

ママの味方 小児はり

今回は 小児はりのお話です。
鍼灸うえだが開院してすぐから来院している女の子、もうじき4歳。活発すぎてママの手に負えない。頭の回転も速いので色々と振り回されているらしい。今までその時々の症状を訊き、小児はりで対処して何とか2年半治療してきたけど、先日ママから「この子1週間のうち1回か2回 朝の寝起きの機嫌がすごく悪い時があり、その時は30分くらい物を投げたり暴れたりします。その後は気がスーとするのかケロッと機嫌が良くなり何事もなかったかのようになります。親としては朝一に暴れられるとその日一日しんどいです。」とカミングアウトされました。ガーン! 衝撃的事実。「先生、私はどうしたらいいですか?」どうしたらいいって言われても・・・。「お母さんはすることはありません、今まで頑張っているのは知っていますから。朝の機嫌が良くなるようにするのは治療者側がすることです。小児はりで何とかやってみましょう。」とお母さんには返事しました。

お母さんには返事をしたものの如何したものか。朝暴れるということは 朝起きた時にはイライラしているってこと。じゃあそのイライラをとれば朝に暴れる行為もマシになる?その発想の元、色々な専門書を引っ張り出して有効なツボを探していく。調べればあるものですね、たくさん。そこで見つけたツボは 身柱(しんちゅう)命門(めいもん)。これらのツボはもう昔から小児の治療には外せないツボ。中にはこの二つのツボで小児は治るという有名先生もいるほど。あらためてツボの重要性を再確認しました。私はそれにもうひとつツボを加えました。そのツボは百会(ひゃくえ)頭のてっぺんにあります。ここは陽気が集まる処・・・。私は「気」を信じないのでそんなことは言いませんけど。イライラはマシになるツボのようです。

次の日その子は来院しました。いつものように機嫌よく小児はりを受けてくれる。その治療の中に身柱、命門 そして百会のツボを意識して治療していく。傍で見ていたら普段とそんな違いもない。お母さんには「今日は前回聞きました朝一暴れる治療もしています。様子を見ておいてください。」と一言。それから1週間経ちました。その間にも鍼灸うえだに通っていただいてますが、朝一暴れる症状は無いようです。相変わらずお母さんはその子に手を焼いておられるようですが。朝一暴れるのが無くなっただけでもお母さんには少し楽になったようです。よかった、よかった。もっと早くカミングアウトしてくれたら良かったのに、それがショックかな。
お母さん、育児は大変です。相談した何か変わるかもしれませんよ。

咳は風邪からとは限らない

今回のテーマは「咳」です。咳というと思い浮かべるのが「風邪」ですが、風邪じゃなくとも咳がたくさん出ることだってあるんです。小児ぜんそくとも違うんです。

7月12日、この日は二か月に一度行われる臨床家育成会の日でした。臨床家育成会というのは読んで字のごとく鍼灸師を育成する講習会、鍼灸師になるべく国家試験は合格するものの いざ臨床で患者さん相手に施術となるとそううまくいかない。そんなことが無いよう実技重視の講習会なんです。
今回のテーマは「刺絡」三稜針という鍼を使って患者さんを施術していく。ホームページを見ていただくとわかりますが、三稜針で皮膚を切った後、吸玉をしていく治療なんです。午前中 刺絡の座学を行った後、午後からは実技開始。今回は森ノ宮医療大学の1年生が見学に4名。そのうちの2名が鍼灸の実技のモデルになってくれました。私のモデル患者の彼、症状は「咳」。もう2ヶ月もでてるらしい。あまりにも治らなくてお医者さんに行って薬を飲んでいるけど一向に変化なし。この「咳」どうかしてください!というのが主訴。問診しているとすぐにピンときました。「腹からくる咳」だと。
この「腹からくる咳」には特徴があります。まず本人の風邪の自覚なし。咳は出始めると比較的続けて出ます。続けて出てむせるくらい出ます、キツイ時は胃の内容物をもどします。これらを患者さんに尋ね該当しているとビンゴです。今回もこれらの質問をしましたがすべてビンゴでした。

「腹からの咳」といっているように胃腸の治療が主体です。間違っても風邪の治療では治りません。
一番わかり易いのは仰向けに寝かせてお腹を診る。大師流でいう腹部打診をすると大抵鳩尾(みぞおち)付近でポンポンとガスの音がする。このガスを下方にもってくると咳は治まってきます。
この患者さんは咳の症状がきつく下向きに寝るだけでも咳が酷くなる。仕方がないので取りあえず足三里と、上巨虚穴に鍼をします。この足の三里は胃に上巨虚は腸に効きます。この患者さんは三稜針が合う身体なので三稜針でポンポンとツボを叩くとそれだけで咳が減り「楽~」て感じ。それでもって下向きに寝てもらったけど咳は出ず。それから胃の治療、腸の治療でツボに三稜針をポンポンと打つがどれも気持ちいい~。もう一度上向きになり腹部打診をするが鳩尾のガスは下がっている。
患者さん「もっと早く鍼灸すれば良かった」と大感動。いい講習会のモデルでした。今回の三稜針は鍼の先を丸めてあるので皮膚を切ることなくもちろん出血も見ない。ものの15分くらいの出来事でした。

お題の通り「咳は風邪からとは限らない」ということです。これから足元がクーラーなどで冷える季節、お腹のガスは鳩尾に集まりがちです。足元は温かくしてください。
ブログ「体調が悪いのはガスのせい」も一緒に読むとよりガスの事がわかり奥が深まりますよ。

顔面の症状には首の治療が大事

今回のテーマは「顔面の症状」です。顔面の症状?何それって感じですが、私の言う顔面の症状は鼻・耳・目・口の症状です。例えば鼻炎であったり、目がショボショボしたり、耳鳴りがしたり、歯茎が浮いたりといった諸症状のこと。今までの臨床経験上ポイントは首のコリです。症状によって首でもこる位置が微妙に違うのですが大まかにいえば首のコリです。首のコリがとれれば気になっている愁訴はとれます。顔面の症状はその人の一番弱いところ、それは鼻であったり、耳であったりします。多分凝ってくるとこんな症状が出るってだいたい決まっていますから。

前の職場で私がずっと診ている患者さんがいました。その患者さんは「いつも首が気になる」とか「首のここに大きいやいとしてください」とか首に関してよく訴えていました。(その処はア門穴)その頃駆け出しのころで首を触っても何にもわからずただ患者さんの言われるがままにしていましたが、患者さんの言う通りにすると満足されるのでした。だんだんと言われるがままというのも嫌になり自分でどこが悪いか見つけてやろうと思い色々と触るとその患者さん、そこは目に効くとかそこは鼻にくっついている何かが取れる感じとか色々と感じたままに言ってくれるんです。その時に思ったのは「首は顔面の症状と関係がある」ということでした。その患者さんにはそういう面で色々と教えていただき良い勉強ができました。それから色々な患者さんを治療する際「先生、なんでこんな風になるんですか?」と問われることも多いですがその時の経験で「首のコリです。首のコリが取れたら症状も取れますよ。」とハッキリと言うことができます。

そうそう首のコリですが、その患者さんその頃で60歳は越えていたと思うのですが、白髪の女性の方でした。1週間に1回私が治療していました。前述している通り首をしっかり治療している(他の処もしっかりとしていますが・・)と首のところから後頭部にかけてだんだんと白髪から黒髪に変化していきました。患者さんがびっくりされていたことが思い出されます。
ついでながら首の治療を行うと「小顔効果」も期待できます。首の付け根(上天柱穴・後頭部あたり)が凝って血液循環がわるくなると顔のむくみがでてきます。首のコリをとると血液循環がよくなりむくみが無くなるつまり小顔。もちろん首のコリをとると各症状が改善できる。まさに一石二鳥です。鍼灸うえだでは 美容針はしませんが、首のコリをとることは治療上しているので「小顔」にもなれると思います。

顔面の症状 色々ありますが もしかしたら首のコリが原因かもしれませんよ。

「健全な肉体に健全な精神は宿る」という言葉

「健全な肉体に健全な精神は宿る」という言葉を私は大切にしています。この言葉、鍼灸学校1年の時に衛生学で習った言葉。授業の時は ヘェ~そうなんだ くらいしか思っていなかったけど鍼灸の臨床をしているとこの言葉の意味が分かってきます。病んでいる患者さんがだんだんと良くなっていくと考えも前向きになりやる気も出てくる。連鎖反応で身体の方ももっと良くなって来て・・・と良い循環ができてきて心も身体も良くなってくる。やっぱり心と身体は切り離せないものなんですね。病は色々あります。治し方も色々です。我々鍼灸師ができることは身体を治すこと、でもただ身体を治すのではなく、身体を治すことによって精神(心)も治すことができるのです。私はこの「健全な肉体に健全な精神は宿る」という言葉を支えに患者さんを治療することはよくあります。

うつ病やパニック障害の患者さんにはこの言葉を伝えます。健全な肉体になることが症状を治すことだと伝えます。
現在うつ病の患者さんが来院されていますが鍼灸治療を始めてだんだんと日常生活に変化が現れたようです。何もできずに一日過ごされていた毎日に少しずつ何かやれる、やりたくなるようになるみたいです。

そうそう以前お母さんが自分の子供をタンスに押し込めて子供が亡くなったという事件の報道を見ました。親が自分の子をタンスに押し込めるなんて・・ありえない と思っていましたが、考え方を変えて もしお母さんが疲れていたら?おかあさんが体調が悪かったら? やはり健全な精神ではいられなかったのではと思ってしまいます。誰も知り合いの無い都会でずっと赤ちゃんと一緒。赤ちゃんはお腹が空いたで泣くし おむつが汚れたで泣くし、お母さんも疲労でまともな精神状態ではなかったのかも。

身体を治すのが私の仕事、「健全な肉体に健全な精神は宿る」と信じて治療します。
今回は日常的に患者さんに言っている言葉を取り上げてみました。