夜尿症にはやっぱりお灸。

今回は夜尿症のお話です。以前にもブログで「夜尿症にお灸が効く」ということを書きました。やっぱりお灸が効くんだと実感しました。その模様をお伝えします。
現時点で治療は3回です。3回目の時に治療前のお母さんのお話ではおねしょはしていない(1回失敗)との事でした。つまり2回でということ。なかなかおねしょが治るには驚異的です。私も初めてのケースでびっくりしています。
 患者さんは小学1年生の女の子。自分でもおねしょが気になるということで勇気を奮って鍼灸院に行くと決めたとの事でした。夜尿症の症状はというと、毎日する。寝て12時ごろには一度しているがしたことに気付かないでそのまま寝ている。多分一晩で2回くらい出るよう。最近はお昼も気になってトイレに行く回数が増えている。なかなかの重症です。
お母さんとお姉ちゃんと一緒にニコニコして来院されました。一通り小児はりを説明してから「じゃあ鍼してみる?」と治療をうながすと目からポロポロ涙がこぼれます。手に小児はりをしてみて「痛かったら言ってね,すぐ止めるから。」小児はりの撫でる鍼にいちおう納得。気を取り直してベッドで仰向けで寝てもらう。まずはお腹を診て・・・。お腹にガスがいっぱい。このお腹にガスが多いことがおねしょをしても気が付かない、もちろん起こしても起きない、いわゆる爆睡をしてしまう原因のひとつです。治療としてはこのガスを減らすことがひとつの課題。お腹、足、手をして次はうつ伏せになって・・・。背中を診ていきます。まず身柱あたり。小児はりの基本 身柱 命門 の重要穴。少し湿りを感じる。背部を小児はりで撫ぜていきます。あともうひとつ気になるところ。仙骨S2辺りがやはり湿っている。身柱より湿りがきつい。全体的に小児はりをした後、棒灸を取り出して患者さんさんに見せて「こことここにこんなのしたいんだけどやっていい?」と尋ねるとまた涙がポロポロ。また手に試してみて納得ずくで身柱とS2辺りに棒灸。鍼灸うえだの棒灸は皮膚に近づけるのではなく、身体の上に置いたタオルの上からポンポンと棒灸を当てるのです。この子もそうですが皆さん「気持ちいい~。」結局のところ小児はりも棒灸も気持ちが良かったそうです。
2回目に来院されたときお母さんが「起こしたら起きました。」爆睡ではなくなったのねって感じ。まだおねしょはします。でも出ている尿の量が少ない感じです。(たまに量るそうです)治療としては初回と一緒です。小児はりと身柱とS2あたりに棒灸。
3回目来院。「おねしょしなくなりました。前回に治療から1回失敗しただけです。」とお母さん。「水分制限は寝る前は飲まないようにしているがあとは普通にしている。あと病院に行ったら膀胱に溜められる量が倍くらいになっていた。」とのこと。すごくよく治療が効いたという感じです。もちろん治療で涙がポロポロということもありません。喜んで来院しているとのこと。
今回の夜尿症の治療で思ったことは線香灸より棒灸(鍼灸うえだ方式)の方が効果的だということと患者さんが小学1年生でしたがきちんと説明して納得の上治療したことが良い結果を生んだのではと思っています。今まで夜尿症の治療をしましたが、2回でほぼ良くなったということはなかったので感動しました。レアなケースかもしれませんが小児はりにまた自信がつきました。

温陶灸器、活躍しています。

ホームページでも紹介している「温陶灸器」ですが、最近はなかなかの活躍をみせています。
温陶灸器の便利なところは誰にでも灸頭鍼の温かさ(輻射熱)を感じてもらえることです。灸頭鍼は字のごとく鍼の頭にお灸を置くですが、例えば鍼が深く刺せない(鍼の上にもぐさを置くためある程度深く刺さないと安定しない)鍼に置いたもぐさが気になって治療に専念できない、ある程度太い鍼でないとたわんでしまう などといったことがあります。それを解消できるのが「温陶灸器」です。ただ皮膚との距離は変えられないといったことはありますが、簡便さにおいてはこれほどのものはありません。点灸(もぐさでお灸する)に比べての熱量は格段でありこの時期の冷えを一気にとってくれます。ただ鍼灸師が使っていてまだまだ改良の余地があります。昨日も陶芸家五條氏と打ち合わせをし使い勝手の良いもの、効果の高いものに仕上げている最中です。今年1月から製作に入っていますが完成には至っていません。
この未完成の「温陶灸器」ですが活躍しています。以前ブログでも紹介した「女性の薄毛治療」。温陶灸器の頭に載せるやつです。最近髪の毛のコシがなくなってすぐペシャンコになる60代女性。女性の薄毛良くなりますよというと是非試したいとのこと。といっても温陶灸器頭用を頭に載せてもぐさを置くだけですけど。頭にハンドタオルを置いてその上に温陶灸器を置く。そして患者さんが熱いと思うまで温陶灸器の上にもぐさを燃やす。(ちなみに私の治療院はマンションで煙が出るのが嫌なので炭化艾を使います)4月から5回全身治療と薄毛治療をしたところ先日6回目の時「髪にコシが出てきた、櫛でといているとき違いが判る。」と言われました。確かに髪がペチャンコにはならなくなりました。頭皮に直接お灸する方法もありますが、うまくやらないと髪の毛が少し燃える(少ない資源なのに・・)頭皮にお灸の痕が残る(ドラゴンボールのクリリンほどではないけど)温陶灸器にもぐさを置くだけはやっぱり楽だと思います。
あと先に書きましたが、腰の冷えで調子が悪い患者さんが多いです。点灸もいいですが温陶灸器でじっくり温めるとすごく気持ちが良いそうです。最初温陶灸器を使うことを説明していると大抵「エ~そんな熱いし・・・。」と言われますが実際にやると炭化艾が燃え尽きるまでじっとされています。「気持ちいい~」みたいな。

これだけ日本も暑くなるとクーラーなどで冷やして当然です。でも身体は冷やしすぎると体調を崩すことをお忘れなく。
温陶灸器を使えない人は熱いお風呂に入るのもいいですよ。

やいと祭り行ってきました。

やいとまつり2015私の7月の恒例行事「やいと祭り」に行ってきました。やいとって?やいととはお灸の西日本の方言だそうです。場所は滋賀県米原市。昔は中山道の宿場町の柏原宿(かしわばら)ここでやいと祭りは行われるんです。なんでやいと祭りなの?古来よりお灸のもぐさは江州(昔の近江・現在の滋賀県)伊吹山産が一番と言われてきました。この柏原宿は伊吹山の麓 艾屋さんが多くあったそうです。今でも亀屋左京という艾屋さんがあります。以前ダイコクドラッグで亀屋左京の艾を発見して感動しました。地元の祭りでは屋台がでたり魚つかみがあったりと老若男女楽しめますが、やいととはほど遠い。そこで鍼灸の普及もかねて私たちが鍼灸治療をすることになったのです。

治療する場所は2カ所。1カ所は冷房の効いた部屋の中、かたや炎天下の中小学校の運動会の時のテントの下に簡易ベッドを作りそこで治療する。私は大抵炎天下の治療が多いのでこれぞ夏の風物詩といった感があります。鍼灸学生も参加してくれてせんねん灸に代表される台座灸を道行く人に体験してもらう。ほんとやいと祭り!って感じ。また小児はり体験もあり、お祭りに子供はつきもので 小児はりを体験するとおもちゃがもらえる仕組みでみんな小児はりを一度は体験するってわけ。色々と盛りだくさんの内容でやいと祭りに今年も臨んだのでした。

大人治療の時間は30分。問診をして具合の悪い処を訊いてそれが改善するよう鍼灸治療をしなければなりません。私が参加するのはこの30分で如何に良い治療ができるかいわば武者修行のようなものです。最後には「どうですか?」と治療を受けた方に訊かなければなりません。そこで良い答えをもらえるかどうかが一番重要です。今回の結果はまずまずでした。治療内容は 肩こりや腰痛といったもので紹介するほどのものではなかったので割愛します。
心に残るものとして 最後に肩こり・腰痛をした患者さん(20代女性)が私の居ない処で言った一言。「おっちゃんに治療してもらって良かった!」良かったって言ってくれるのは嬉しいけど、おっちゃんって間違いではないけど、せめておじさんとか言いようがあると思うが・・・。

はり灸三昧の2日間でした。また来年も参加します。

ママの味方 小児はり

今回は 小児はりのお話です。
鍼灸うえだが開院してすぐから来院している女の子、もうじき4歳。活発すぎてママの手に負えない。頭の回転も速いので色々と振り回されているらしい。今までその時々の症状を訊き、小児はりで対処して何とか2年半治療してきたけど、先日ママから「この子1週間のうち1回か2回 朝の寝起きの機嫌がすごく悪い時があり、その時は30分くらい物を投げたり暴れたりします。その後は気がスーとするのかケロッと機嫌が良くなり何事もなかったかのようになります。親としては朝一に暴れられるとその日一日しんどいです。」とカミングアウトされました。ガーン! 衝撃的事実。「先生、私はどうしたらいいですか?」どうしたらいいって言われても・・・。「お母さんはすることはありません、今まで頑張っているのは知っていますから。朝の機嫌が良くなるようにするのは治療者側がすることです。小児はりで何とかやってみましょう。」とお母さんには返事しました。

お母さんには返事をしたものの如何したものか。朝暴れるということは 朝起きた時にはイライラしているってこと。じゃあそのイライラをとれば朝に暴れる行為もマシになる?その発想の元、色々な専門書を引っ張り出して有効なツボを探していく。調べればあるものですね、たくさん。そこで見つけたツボは 身柱(しんちゅう)命門(めいもん)。これらのツボはもう昔から小児の治療には外せないツボ。中にはこの二つのツボで小児は治るという有名先生もいるほど。あらためてツボの重要性を再確認しました。私はそれにもうひとつツボを加えました。そのツボは百会(ひゃくえ)頭のてっぺんにあります。ここは陽気が集まる処・・・。私は「気」を信じないのでそんなことは言いませんけど。イライラはマシになるツボのようです。

次の日その子は来院しました。いつものように機嫌よく小児はりを受けてくれる。その治療の中に身柱、命門 そして百会のツボを意識して治療していく。傍で見ていたら普段とそんな違いもない。お母さんには「今日は前回聞きました朝一暴れる治療もしています。様子を見ておいてください。」と一言。それから1週間経ちました。その間にも鍼灸うえだに通っていただいてますが、朝一暴れる症状は無いようです。相変わらずお母さんはその子に手を焼いておられるようですが。朝一暴れるのが無くなっただけでもお母さんには少し楽になったようです。よかった、よかった。もっと早くカミングアウトしてくれたら良かったのに、それがショックかな。
お母さん、育児は大変です。相談した何か変わるかもしれませんよ。

咳は風邪からとは限らない

今回のテーマは「咳」です。咳というと思い浮かべるのが「風邪」ですが、風邪じゃなくとも咳がたくさん出ることだってあるんです。小児ぜんそくとも違うんです。

7月12日、この日は二か月に一度行われる臨床家育成会の日でした。臨床家育成会というのは読んで字のごとく鍼灸師を育成する講習会、鍼灸師になるべく国家試験は合格するものの いざ臨床で患者さん相手に施術となるとそううまくいかない。そんなことが無いよう実技重視の講習会なんです。
今回のテーマは「刺絡」三稜針という鍼を使って患者さんを施術していく。ホームページを見ていただくとわかりますが、三稜針で皮膚を切った後、吸玉をしていく治療なんです。午前中 刺絡の座学を行った後、午後からは実技開始。今回は森ノ宮医療大学の1年生が見学に4名。そのうちの2名が鍼灸の実技のモデルになってくれました。私のモデル患者の彼、症状は「咳」。もう2ヶ月もでてるらしい。あまりにも治らなくてお医者さんに行って薬を飲んでいるけど一向に変化なし。この「咳」どうかしてください!というのが主訴。問診しているとすぐにピンときました。「腹からくる咳」だと。
この「腹からくる咳」には特徴があります。まず本人の風邪の自覚なし。咳は出始めると比較的続けて出ます。続けて出てむせるくらい出ます、キツイ時は胃の内容物をもどします。これらを患者さんに尋ね該当しているとビンゴです。今回もこれらの質問をしましたがすべてビンゴでした。

「腹からの咳」といっているように胃腸の治療が主体です。間違っても風邪の治療では治りません。
一番わかり易いのは仰向けに寝かせてお腹を診る。大師流でいう腹部打診をすると大抵鳩尾(みぞおち)付近でポンポンとガスの音がする。このガスを下方にもってくると咳は治まってきます。
この患者さんは咳の症状がきつく下向きに寝るだけでも咳が酷くなる。仕方がないので取りあえず足三里と、上巨虚穴に鍼をします。この足の三里は胃に上巨虚は腸に効きます。この患者さんは三稜針が合う身体なので三稜針でポンポンとツボを叩くとそれだけで咳が減り「楽~」て感じ。それでもって下向きに寝てもらったけど咳は出ず。それから胃の治療、腸の治療でツボに三稜針をポンポンと打つがどれも気持ちいい~。もう一度上向きになり腹部打診をするが鳩尾のガスは下がっている。
患者さん「もっと早く鍼灸すれば良かった」と大感動。いい講習会のモデルでした。今回の三稜針は鍼の先を丸めてあるので皮膚を切ることなくもちろん出血も見ない。ものの15分くらいの出来事でした。

お題の通り「咳は風邪からとは限らない」ということです。これから足元がクーラーなどで冷える季節、お腹のガスは鳩尾に集まりがちです。足元は温かくしてください。
ブログ「体調が悪いのはガスのせい」も一緒に読むとよりガスの事がわかり奥が深まりますよ。

顔面の症状には首の治療が大事

今回のテーマは「顔面の症状」です。顔面の症状?何それって感じですが、私の言う顔面の症状は鼻・耳・目・口の症状です。例えば鼻炎であったり、目がショボショボしたり、耳鳴りがしたり、歯茎が浮いたりといった諸症状のこと。今までの臨床経験上ポイントは首のコリです。症状によって首でもこる位置が微妙に違うのですが大まかにいえば首のコリです。首のコリがとれれば気になっている愁訴はとれます。顔面の症状はその人の一番弱いところ、それは鼻であったり、耳であったりします。多分凝ってくるとこんな症状が出るってだいたい決まっていますから。

前の職場で私がずっと診ている患者さんがいました。その患者さんは「いつも首が気になる」とか「首のここに大きいやいとしてください」とか首に関してよく訴えていました。(その処はア門穴)その頃駆け出しのころで首を触っても何にもわからずただ患者さんの言われるがままにしていましたが、患者さんの言う通りにすると満足されるのでした。だんだんと言われるがままというのも嫌になり自分でどこが悪いか見つけてやろうと思い色々と触るとその患者さん、そこは目に効くとかそこは鼻にくっついている何かが取れる感じとか色々と感じたままに言ってくれるんです。その時に思ったのは「首は顔面の症状と関係がある」ということでした。その患者さんにはそういう面で色々と教えていただき良い勉強ができました。それから色々な患者さんを治療する際「先生、なんでこんな風になるんですか?」と問われることも多いですがその時の経験で「首のコリです。首のコリが取れたら症状も取れますよ。」とハッキリと言うことができます。

そうそう首のコリですが、その患者さんその頃で60歳は越えていたと思うのですが、白髪の女性の方でした。1週間に1回私が治療していました。前述している通り首をしっかり治療している(他の処もしっかりとしていますが・・)と首のところから後頭部にかけてだんだんと白髪から黒髪に変化していきました。患者さんがびっくりされていたことが思い出されます。
ついでながら首の治療を行うと「小顔効果」も期待できます。首の付け根(上天柱穴・後頭部あたり)が凝って血液循環がわるくなると顔のむくみがでてきます。首のコリをとると血液循環がよくなりむくみが無くなるつまり小顔。もちろん首のコリをとると各症状が改善できる。まさに一石二鳥です。鍼灸うえだでは 美容針はしませんが、首のコリをとることは治療上しているので「小顔」にもなれると思います。

顔面の症状 色々ありますが もしかしたら首のコリが原因かもしれませんよ。

「健全な肉体に健全な精神は宿る」という言葉

「健全な肉体に健全な精神は宿る」という言葉を私は大切にしています。この言葉、鍼灸学校1年の時に衛生学で習った言葉。授業の時は ヘェ~そうなんだ くらいしか思っていなかったけど鍼灸の臨床をしているとこの言葉の意味が分かってきます。病んでいる患者さんがだんだんと良くなっていくと考えも前向きになりやる気も出てくる。連鎖反応で身体の方ももっと良くなって来て・・・と良い循環ができてきて心も身体も良くなってくる。やっぱり心と身体は切り離せないものなんですね。病は色々あります。治し方も色々です。我々鍼灸師ができることは身体を治すこと、でもただ身体を治すのではなく、身体を治すことによって精神(心)も治すことができるのです。私はこの「健全な肉体に健全な精神は宿る」という言葉を支えに患者さんを治療することはよくあります。

うつ病やパニック障害の患者さんにはこの言葉を伝えます。健全な肉体になることが症状を治すことだと伝えます。
現在うつ病の患者さんが来院されていますが鍼灸治療を始めてだんだんと日常生活に変化が現れたようです。何もできずに一日過ごされていた毎日に少しずつ何かやれる、やりたくなるようになるみたいです。

そうそう以前お母さんが自分の子供をタンスに押し込めて子供が亡くなったという事件の報道を見ました。親が自分の子をタンスに押し込めるなんて・・ありえない と思っていましたが、考え方を変えて もしお母さんが疲れていたら?おかあさんが体調が悪かったら? やはり健全な精神ではいられなかったのではと思ってしまいます。誰も知り合いの無い都会でずっと赤ちゃんと一緒。赤ちゃんはお腹が空いたで泣くし おむつが汚れたで泣くし、お母さんも疲労でまともな精神状態ではなかったのかも。

身体を治すのが私の仕事、「健全な肉体に健全な精神は宿る」と信じて治療します。
今回は日常的に患者さんに言っている言葉を取り上げてみました。

ピンチはチャンス2(鍼灸うえだの場合)

ピンチはチャンスの第2弾です。ということはまた調子が悪くなってしまいました。今回は足の痛みです。よくこのブログで「足の痛みは腰から」とよく書いていますがこれは実体験なんです。何にもしていないのに痛むって・・・。多分どっか悪いから。年に1~2回こんなことがあるんです。前の時は膝痛でした。日曜日(6/21)朝起きて何ともなかったのに2度寝して起きたら足の甲が痛んで普通に歩けない。ショック!!今日は野球観戦する予定だったのに、歩けない。現在火曜日(6/23)そこそこ歩けるようになりました、まだ足を引きずっているけど。痛みはほぼありません。
では治療の顛末を・・・。
右の足の甲が痛い。坐骨神経痛の人はこんなに痛いのかと感じつつ鍼灸師として何か手を打たなければと考えました。原因は何?冷えか?そういえば昨日は朝治療院でコーヒー作っててこぼして靴下が濡れたので一日中裸足、これが原因か。左右の足の甲を触ると悪い方の右側はやはり冷えてる気がする。と言ってもお灸は持ち合わせがない、触診してここぞというところに鍼をする。何となくマシな気分。これで良くなればラッキー、野球観戦もいける。少しマシになった感じだったので歩いてみると鍼をする前より痛い。これは困った、お灸はないので取りあえずお風呂で温まろう。少しお湯の温度を高めにしてひたすら温まる。入浴中は暇なので痛い処を軽くマッサージしてみよう。これでマシになるかなと風呂から出たが劇的な変化は無し。この時点で野球観戦を断念・・・。残念・・・。では直接ドライヤーで温めてみよう。時代劇を観ながらドライヤーで温めてみる、でもあんまり変わらない。日曜日はもう何もせず足を使わずふて寝。
月曜日(6/22)雨が降っていたら電車通勤になるので最悪でしたが何とか曇り、自転車で通勤できる分、足に負担がかからずなんとか治療院へ。どうして治そうかと考えるが自分の手の届く範囲しか鍼が使えないので頭か足くらいしか鍼する処がない。取りあえず頭に鍼。今回はYNSAではなく「頭鍼臨床解剖マップ」という本を参考にしてみた。頭に鍼を1本、昨日の足の甲に直接刺すのとは明らかに違う。何となく痛みが軽い。これはいけそう。たまに「ここに鍼を打ったら」と降りてくるんです。今回は「懸鐘」というツボ。普段はあんまり使わないツボなので「ツボ単」でお勉強してしっかり狙って打つとまたまた痛みがマシ、右足に力を入れてもだんだんと痛みが無くなってきた感じ。10分くらい鍼を刺したままの状態で置いておくことに。鍼を抜いた後は足の甲の痛みが3割ほどになりました。朝一なら歩くたびに「ウッ」と声が出ていましたがそんなこともなくその後患者さんが来られても痛んでるのがわからないくらいでしたのでうまく治療できました。月曜日の朝の治療(頭と懸鐘穴)が良かったと思います。
今回は坐骨神経痛の痛みが少しわかったことと今まで使ったツボ以外ですごく効果的なツボがあることがわかりました。もっと勉強せねば感じた症例です。

はり灸のせいであわやケンカに・・。

今回のテーマは「はり灸のせいであわやケンカに・・・。」どういうこと?

月曜日の朝一番、いつもは元気よく来院される60歳過ぎの女性、その日も元気のいい声を期待していましたが、予想はずれのしんみりした声で「おはようございます。」「今日は元気ないですね、どうかされました?」「実は昨日庭でこけたんです。顔とか足とかえらい打って・・・。」身体のあちこちを打ってはります。顔、左腕、左手首 左膝、左の足の指など触診すると腫れてる~。整形外科に行ってレントゲン撮ったけど骨は折れてなかったそうです。それは良かった。まず説明から・・・。「はり灸は打撲などにもよく効くんです、もちろん普段の肩こりなどの治療もしますが、今日は打撲の治療も一緒に治療した方が良いです。打撲や打ち身は早く治療するほどいいんですよ。」と、まずは患者さんの了解をもらいます。(打撲の治療をしてもしなくても料金は一緒です)その後どのように治療するか説明。普段と違う鍼を使うから。治療を始めてびっくりしても困るので。「打撲の衝撃を受けた箇所に三稜針という鍼を使い皮膚を切ります。切った皮膚の処に吸い玉をかけてうっ血した血液を取り除きます。そうすると早く打撲が良くなります。皮膚を切りますがこの鍼が合う皮膚は痛くありません。鍼が痛ければ痛いと言ってくださいね。」と説明。

治療に取り掛かりまずは頸椎部と胸椎部。やはり衝撃を受けてるよう。触診してココという処に三稜針。患者さんは「痛い」とも言わない。吸い玉にはみるみるうっ血した黒い血が溜まっていく。すると「肩の辺りのしんどい感じが楽になった。」と患者の声。こけた際左手首で身体を支えたようで小指側手首が腫れている、でも三稜針を打つほどでもないので 鍼灸うえだの必殺技 セイリン製ディスポ鍼J15タイプ03 (多分日本で一番細い鍼です) で手指末端は鍼をする。鍼を打つ方も打たれる方もお互いにストレスがないので末端はこの鍼に限る。今回は手首に03を打つ。鍼には清熱をとるという特徴があるので腫れた部位の反応点に鍼を刺しておけば腫れはひいていくという仕組みだ。狙い通り手首の腫れも少しひいた。今度はベッドでお顔の腫れに向けて03の鍼をする。私は最近流行の美容鍼というのには全然興味がない。顔に鍼を打ったら小顔になるのは当たり前、痛い、辛いといった症状がないのに鍼をすることには抵抗を感じるので当院には美容鍼といった項目はない。話が逸れたが、今回は顔面を打っているのでちゃんと鍼をするポイントがある。そこに03の鍼をすればこれまた腫れがひいていく。あと左足親指の処も打ったよう、ここも03の鍼で対応する。おもしろいように腫れがひいていく。腰にも三稜針を打ったがこれはもう割愛する。

打撲・打ち身の衝撃部位には三稜針が有効、末端などには鍼を置針しておけば腫れも引いてくる。最近は打撲の患者さん増えたなあ。
この患者さんこの月曜日の治療後3時間くらいよく寝たそうです。それから打撲部位が嘘のように痛くなくなってききたそうです。こけた当日すごく痛がっていて、翌日はり灸治療して身体が良くなって。ご主人から「オーバーに痛い、痛いって言ってそんなに痛なかったんとちゃうか?」とはり灸で打撲が良くなってあわやケンカ寸前までいったそうです。ちなみに打撲の治療は2回で終了しました。早めの治療で良かったです。 

子どもは賢い

「子どもは賢い」なんて変なテーマですが今回は小児はりで・・・。
私は小児はりで来院したパパやママに「子どもは賢いよ」って言うんです。まあ、実際賢いですし・・。

事例を挙げていきましょう。大師流小児はりを勉強した人は一度は聞いたことのある言葉「子どもを泣かさない。」子どもを泣かしてしますと治療者の思うように治療ができません。子どもは身体を動かしたりママにしがみついたりと治療したいところをうまくさせてくれません。また子どもが泣くと治療している小児はりが痛い?なんてパパが思ったりして、あまりいい印象はありません。大師流小児はりって皮膚をさするような治療なので全然痛くないのに・・・。うまく治療できない、親の心証悪い、こりゃ泣かさないに越したことない。
でもね、子どもって泣くのよね、特に初めての治療院。何されるかわかんないのにいきなり服脱がされたりしたら・・「病院?注射?イヤだ。」て当たり前でしょ。でも努力している治療院は多くて 白衣着ない 子どもが落ち着くまで待っている メガネをはずす 男の人は子どもが苦手なので女性の先生が治療する などなど。鍼灸うえだはスタッフは男性だけだし、子どもが落ち着くまで待ってられないし そんな手は使えない。
 そこで裏ワザ紹介、それは保護者の説得。(これも勉強しましたね)「子どもは賢いよ、今日は泣いているけど2~3回で泣かなくなるから。」
実際、子どもはだんだんと泣かなくなります。最初は泣くけど。多分子どもは子どもなりの分別があるのだと思います。白衣を着ていても病院と治療院(鍼灸院)の区別はつきます。予防接種のあとに鍼灸院に来ても泣いたりしません。ここは鍼をされるところ、気持ちいい処と認識されると大丈夫です。

鍼灸うえだの患者さん 下の子が生まれたおねえちゃん、かんむしになってしまいました。夜に大声を出す(夜驚症)、イライラして人に攻撃的なる(特に自分より弱いものに攻撃的になるので今回は赤ちゃん)といった具合。「小児はりお願いします!」とおかあさん。「わぁーん」とおねえちゃん。いきなりか。これはあやしてももう無理。裏ワザを使おう。でもしっかりと症状の改善がないと次回の来院はないのでポイントは外さずに治療。「今日は泣いたけど、みんな泣かなくなるよ。」小児はりが終るまで泣いていたけど服を着たらご機嫌さん。帰りにはバイバイしてくれました。もちろん続けて来院していただき夜の雄叫びはなくなりました。赤ちゃんにもやさしくなりました。小児はりをする時「おてて貸して」ていうとちゃんと手を差し出してくれます。子どもはここは気持ちいい処なんだと思ってくれているのだと思います。やっぱ子どもは賢い!

少しでも小児はりの良さをわかってもらい、子どもは元気になり、パパとママは育児が少しでも楽になって笑顔が増えることを願っています。