打撲・打ち身に鍼灸は効く(交通事故編)

鍼灸が打撲や打ち身によく効くということはあまり知られていません。でも患者さんが自転車で転んだり、部屋のどこかで足をぶつけたりということは日常的にあることです。それも早く治療すれば早く良くなるのであれば「さっき転んじゃった。」という患者さんの声に耳を傾け治療すればすぐに楽になります。これぞ治療者冥利に尽きると思うのですが・・・・。

今回は「交通事故」です。その患者さんは坐骨神経痛、その治療で月2回程度来院されています。主訴は坐骨神経痛でも そこは鍼灸うえだ 身体全身を診ないといけません。まずは椅子に座って肩、首、両手から。「今回、右手よく使いました?なんか普段と違いますよ。」と声をかけると「別にいつもと一緒かな・・・・。アッ車が小さくなったから使い勝手が悪かったかな。」「なんで車が小さくなったんです?」「実はね、交通事故したの。」「されたんじゃなくてしたの?」「そう雨降ってて左折してる最中、自転車に乗った学生が赤信号を渡ってて、急に止まったけどぶつかった。そういえばそれから何となく肩が凝ったような感じ。これって交通事故のせい!!」「多分・・・。」
会話調で状況を説明しましたけどお分かりいただけましたか。
ポイントは患者さん本人交通事故の後遺症とは気づかなかったこと。まさか加害者側が交通事故のダメージ(打ち身)になるとは思わなかったこと。身体にかかる負担・衝撃はスピードや事故の程度で決まるものではないこと。本人曰く「そんなに大したことなかったのに・・・・。」ちなみに今回の事故は自転車と車の接触ですが修理見積もりは30万円だそうです。でも学生さんは自転車乗っててこけただけのよう。大事故でなくてよかったです。

治療の話へ。右肩から腕にかけてなにやら突っ張る感じ、「普段こんなことないのに」と思って尋ねると交通事故という話。被害者だろうと加害者だろうと関係ありません。身体がおかしければ治すのみ。どこかに事故の衝撃があるはず。やっぱりありました。胸椎2番の右際に。そこに三稜針と吸い玉をします。私なりの刺絡があっているかどうかの確認法、吸い玉に吸い上げられた血液 やっぱり普通のサラサラ血液ではない(ドロッとした固まる血液)であれば当たり。あと皮膚を切った時患者が「痛い!」って言うか言わないかがポイント。治療後は肩がスッキリと患者さんは喜んでおられました。あと頚椎・腰椎のむち打ち好発部位も確認しておきました。

交通事故も頸椎捻挫・腰椎捻挫という症状名がつきます。鍼灸それも刺絡がよく効くケースが多いです。文中にも書きましたが、症状は事故の程度やスピードによって比例しません。その状況に応じて考えていくことが大切です。ピンチはチャンスで「身体は丈夫だ」と豪語している私ですが、ただ交通事故だけは多くて(人身事故はありません)車を3台ほど大破しました。交通事故後遺症、いわゆるむち打ちに関しては身体がわかっているつもりです。くれぐれも交通事故には気をつけましょう。

鍼灸うえだでは「ちょっと遅れます!」「交通事故だけは気をつけて来てください。」と応対しています。

花粉症のツボここかな。

今年の春は「花粉症」のツボを探すことがテーマでした。自分に(ブログ:ピンチはチャンス編)または患者さんの協力のもと一応 ツボを発見しました。ツボの条件としては自分一人でツボを押さえられる、つまり治療らしきことができるのが条件です。だって花粉症はいつ来るかわからないし、誰かが傍にいるとは限らないので一人でできるという条件が要るのです。
鼻の中全体が楽になる というのが頭の処。ツボ名など言っても一般の人はわからないのでわかりやすく・・・。
まず両耳の裏を前につまり二つ折にします。その左右の耳の上の尖った処から線を頭上で交わらせます・その線と身体の真ん中の線(正中線)の交点が「百会ひゃくえ」というツボです。頭痛・逆上せ・痔などに効果があると言われているツボです。そこではなく百会から指の幅一つ分前の正中線にすっごく痛い処があります。ここを刺激すると鼻の中全体が鼻炎の時にスッとします。私の場合は風邪をひいた時 そこに鍼をすると鼻の中の違和感がとれてスッとしました。一度試してみて下さい。

あと気になるのが鼻水。気が付けばタラーリと落ちそうになる。あんまりカッコいい姿ではないので鼻水が止まるといい。定番は小鼻の処。鼻水が出る方がちょっと痛いか硬いか。そこを刺激すると一時的に鼻水は止まります。あんまりきつく押さえたりすると鼻の処なので目立っちゃいます。軽めに押さえて下さい。
別のツボで鼻水押さえるとしたら手首。親指からの線とと手首の線の交点。この辺りを押さえるとここもまた一時的に鼻水が止まります。ここも試してください。ここは鍼灸学校時代 友人と発見しました。もう20年以上前のことですが・・。

患者さんも花粉症とはだんだん言わなくなる時期、今回発見したツボもお蔵入り。
でも花粉症の方ちょっと覚えておいてくださいね。

アトピーは鍼灸で治そう

今回のテーマは「アトピー性皮膚炎」です。今や三人に一人はアトピーと言われる時代。我が家にも三人ほどお子さんがいますがやはり一人はアトピー性皮膚炎でした。やはり統計は当たるのね。
現在 その子は大学を卒業し新社会人で頑張っていますが、アトピー性皮膚炎の症状を見たときは衝撃的でした。生まれて1か月お宮参りの頃アトピーが出てきて身体もお顔も皮膚はズルズル。症状は知っていたものの実際に見ると結構キツイ。親としてはそんな顔や身体の症状 ズルズル状態を写真に残すのが嫌なので1年間写真なし。鍼灸師なら症状を残しておいたら良かったと後から奥さんに怒られましたけど。男親としては娘のそんな姿いらない!!
アレルゲンは鶏肉・卵でした。面白いように奥さんが食べてお乳を与えるとみるみるうちに症状が出てくる。すっごい反応するなという感じでした。なるだけアレルゲンを母親が摂らないようにして症状が出ないよう気をつけました。また、その頃は鍼灸師として駆け出しだったので義父(谷岡賢徳先生)に毎日のように小児はりをしてもらいました。その甲斐あって1歳過ぎにはアトピーの症状は出なくなり、もちろんアレルゲンの鶏肉・卵を本人が食べても大丈夫です。その様子を1年強観てきたので「アトピー性皮膚炎は治る」と声を大にして言いたいです。

ただ本人は勿論両親や治療者も覚悟が要ります。アトピーはすぐに治るものではないので根気よく小児はりを行うこと。症状によっては年単位の話になるので気が遠くなるかもしれません。だけどあきらめたら終わりです。アトピー性皮膚炎を治すことは体質改善です。長い目で見ていきましょう。それだけではなかなかご両親も小児はりに連れてきにくいものです。ですから子どもの今の症状をとることを目的とします。大きい目ではアトピーを小さい目では今現状のかんむし症状を(アトピーの場合痒みがあるため、夜あんまり寝ないとか機嫌が悪いとかよく泣くとか)とっていくのです。そうするとご両親は日々の育児が楽になりますし、長期的に小児はりに通うことがアトピーへの体質改善につながります。まずは小児はりがアトピーに効くと思うことです。その点私は娘が治ったこともあり絶大な信頼を小児はりに持っています。

今まで小児はりで子どもの身体を診てきましたが アトピー性皮膚炎の場合は多くはお腹のガスが関係していると思います。ガスが溜まることは胃や腸が働きが鈍るということ、胃腸系を整えていくとアトピーの症状はマシなように思います。逆にいうとアトピーの症状がキツイ時は大抵ガスが溜まっています。アトピーで調子が悪い子どもは大抵お腹がパンパン状態でした。最近「免疫系は腸だ」なんてよく聞きますけどその通りだと思います。

子どもの調子が悪いとお母さんも・・と家族で連鎖していきます。また良い身体の状態でないと良い思考は生まれません。つい良くないことを考えたりして。それは不幸だと思います。身体が良くなることが家族みんなが幸せになる第一歩だと思います。

ピンチはチャンス(鍼灸うえだの場合)

ピンチはチャンスなんてよくきく言葉です。私のような鍼灸師に言わすと「体調が悪くなったときこそ人体実験して良く効くツボを探すぞ!」ということなんです。そんな時じゃないとツボって探せないですしね。
実は私はあまり「肩凝った~。」などとは思わない、肩こりというものをよく知らない。衝撃発言!!大学時代ワンダーフォーゲル部だったので重たいキスリング(今でいうザック)を先輩に持たさせてよく山に登りました。1回生の山登り多分1回目か2回目の時に肩が痛くなり「これが肩こりなんだ」と実感したことを覚えています。銭湯の10円マッサージ器に座って思いっきり揉んだらすぐ治りました。じゃあ、違うのかな。
睡眠は布団に入ると30秒で熟睡です。だから不眠って何?1年に1度か2度寝れない日が・・・。これが不眠なのか。患者さんと話をしていて不眠の話になって「私もあります。年に1回か2回だけど・・。」と威張っていったら「そんなのは不眠と言わないの!」と一喝されました。ということで最近はこんな身体・こんな体質に生んでくれた両親に感謝しています。体調がすごく悪くならないので治療することもないです。だから体調が悪くなったらチャンス。どこに鍼をしたら体調が変わるのか人体実験、ワクワクする~。

ということで人体実験のお話です。このところ気温が一定でありませんよね。風邪をひきました。♪私風邪をひいちゃいました♪(一応流行りものを入れておきました)喉が痛い、鼻水が出る、熱があるが大きな症状でしょうか。自分でできること、やはり制限があります。背中は鍼が打てないし鍼するところが限られる。熱の治療は背中でするか、指の爪の近くを使うかなのですが、背中はできない。爪の近くは鍼を片手で持つことになりこれまた難しい。熱の治療はお見送り。鼻水と喉に絞ってツボ探し。そうだ、鼻水は花粉症治療になるから頑張って見つけないと・・。
ということで鼻水のツボ見つけました。鼻の中が気持ち悪い感じが取れるツボと鼻水がでなくなるツボかな。現在このツボで鼻水が止まるのか臨床実験中です。うまくいけばブログで公開します。乞うご期待。喉はうまくいきませんでした。

そうそう我が家は鍼灸一家なので基本、最低限しか飲みません。先日こんなことがありました。長女も4月から社会人。4月1日から入社式、研修へと。入社式が品川で荷物少ない方がいいとなるべく荷物は少なめに、もう温かくなるだろうと冬物はなし。しかし研修は長野県へ、周りを見れば雪が残ってる。そりゃ風邪ひきますよね。「研修期間が長いので常備薬を持参してもいいですよ」という会社の配慮でしたが「うちは薬を普段飲まないから、せんねん灸でも持って行け。」と持たせました。入社2日目に風邪ひいた~とSOSの電話。薬があるわけでもなく「じゃこのツボとこのツボにお灸だ」と電話越しにお灸指導。なんとか治ったようです。さすが鍼灸師の娘と感心しました。

患者さんの第六感を信じよう。

今回のテーマは「患者さんの第六感を信じよう。」という意味不明な内容です。何事にも勘というのはあって私の最近のお気に入り「鬼平犯科帳」では鬼平こと長谷川平蔵の勘働きが冴えています。時代劇チャンネルで毎週日曜日には欠かさず見ています。あっ話が逸れました。ブログの中にも書いていますが、「今日はしんどくなりそうだから、お風呂は止めよう。」なんて思うことありますよね。そんな時ってお風呂に入って血行を良くしたら身体がマシになるんだと頭で思うだけで身体はもう拒否状態。こんな時はやっぱり勘が当たってしんどくなることが多いです。こうしたら良くなるかもという身体の声は素直にきくべきです。

鍼灸うえだでは患者さんに合わせて鍼をかえています。刺す鍼なのか、切る鍼なのか(ホームページ鍼の紹介のページ参考)その時の患者さんの皮膚の状態にあわせてかえていきます。もちろん刺す鍼の場合刺す深さも場所ごとに変えていきます。
昨日こんなことがありました。普段では刺す鍼(亳鍼)などしたこともない患者さん。これまで23年間治療していますが刺したことない、ホント大丈夫?。この患者さん、肩こりや坐骨神経痛などの症状で来院中です。その患者さんが「今日は腰のところを鍼でキリキリと奥まで刺してほしい。」なんて衝撃発言。「エ~そんなん大丈夫!。」と思いながら今日の患者さんの皮膚を触ると切る鍼より刺す方が向いてる。私もその気になって「では今日は刺す鍼でいってみますか。」とばかりに全身刺す鍼で毫鍼を刺入。患者さんも刺す鍼が痛いとも言わず治療が進んでいく。腰や臀部にいたっては2cmくらい刺入しても痛くも痒くもない。やっぱり今日の皮膚は刺す鍼が合っているんだ。患者さんの勘も大したものだと感心しました。治療が終わって皮膚を触診すると切る鍼より良くなっている気がする。患者さんにも治療後の感想を聞くと「スッキリ、特に坐骨の辺りは動きが違う。」との声。

一人の治療室はマンネリ化する中、いい起爆剤でした。鍼灸うえだではなるべく患者さんの声を取り入れています。だって身体のこと一番わかるの患者さんだから。なるだけいろんなことを言ってもらって治療のヒントにしています。ただ患者さんの興味本位での「あの鍼やって。」には応じませんけど。患者さんの言葉をヒントにしてうまくいった症例でした。

鍼灸うえだに来院の折には気兼ねせず何でも言ってくださいね。

目の周りがピクピクする、これって鍼灸で治る?

患者さんから「右目の辺りがピクピクと痙攣する。なんか顔面麻痺になるんかな~」なんてよく言われます。多分顔面麻痺にはならないでしょうけど、やっぱり気持ち悪いですよね。
今回はその「顔のピクピク」についてです。きちんとした症状名を知らないので「顔のピクピク」と呼びます。私の経験からすると首のコリです。首のコリをとると嘘のように症状は無くなります。筋肉を動かすのに電気信号で伝えるのですがそれが異常に伝達してしまうことが原因のようです。筋肉の異常興奮というんだそうです。だから首がコリ過ぎると異常伝達してしまうということですね。よくあるのは片側の目の周りがピクピクする、私はたまに口角辺りが痺れる、これも首のコリだと思うんですが・・・。もちろん治療すれば症状は無くなります。じゃあ何処に鍼をすればいいかというと以前はツボでいうと患側の上天柱(かみてんちゅう)なんかが良かったのですが、最近の症例では上天柱よりもっと頭の中、後頭隆起の中にあります。上天柱からずっと後頭隆起を上がっていけば触診すると気になる点に辿り着きます。そこに鍼をすると一発で「目の周りのピクピク」は治まります。頭の鍼を勉強しに行ってから頭を使うことが多くなりましたがよく効く場所です。私の経験ですは目の周りに鍼をするより有効だと思います。

目の周りが気になる方は一度お試しあれ。

膝が痛いの膝が悪いから?

4月に入り一段と温かくなりましたね。桜もこの辺りは7分咲き、つい散歩などしたくなります。でも散歩行きたいのに、膝が痛いとついおっくうになってしまいます。今回のテーマは「膝痛」。

世の中には膝の悪い人はたくさんいて街では痛そうに歩かれる姿をよく目にします。職業柄気になるのか具合の悪い方に目がいってしまいますね。膝が痛いと言っても色々あります。膝の内側辺りが腫れてくる、変形性膝関節症。見ただけで痛そう。膝に炎症があるんですね。だんだんと変形してきて O(おー)脚とかX(えっくす)脚になってくると膝の関節が負担になって炎症が起きてきますね。これも鍼灸すれば炎症が治まると水も溜まりにくくなり痛みが減ってきます。でも今回の「膝痛」は変形性ではないんです。

変形性でなくてってことは見た目普通。どこが悪いのって感じだけど痛みがある。例えば階段昇る時なんか痛い。でもよく痛くなるのって階段降りの時片一方の足に全体重と重力が掛かる時が一番だと思いますけど。階段昇る時なんて自分で体重移動を考えながらできるので降りとはちと違う。来院された患者さんは動かしたときに膝が痛いもんだから「先生、膝が痛い。」なんてよく言われます。痛みが出る状況を問診し「え~これって膝が悪いんじゃ無いんじゃない。腰よ、腰」ということが多いです。最近では「先生、腰ですよね。」なんて患者さんから言ったりして。

 膝を床に付ける、立膝をすると痛いという患者さんがいて年末に電話が掛かってきて「先生どこ悪いの?」「それは腰よ。腰」と返答すると納得いかない。「じゃあ、整形外科でレントゲンでも撮ってもらって何ともなかったらおいで。」とお答えしました。案の定「整形外科では何ともないと言われた。でも痛い。」と来院されました。
「じゃあ、気になるから先に膝の治療しとく?」とベッドにうつむきで寝かせ、腰に鍼をしました。膝に関係する場所があるんですね。鍼は2~3本患者さんに刺しました。鍼を抜き「一回痛い格好してみて。」と患者さんに言うといろいろと動かしてみて「わー痛くない。」と感動。「やっぱり腰やったんや。」

もうひとつ、前の職場では「走る先生」が来院されたことがありました。やはり膝が痛くて走れなくなったそうです。その時も膝そのものではなく腰だと判断し治療しました。まだ勉強不足の頃でしたが、腰椎の正中部位に鍼をしていくとだんだんと走る時に痛みがなくなるとのことでした。計5回くらいの治療でしたが、本当に良くなられたのでしょう、治療後すぐのマラソン大会で優勝されたとのこと、あんまりうれしくて治療院にお礼の電話がありました。私も大変うれしかったことを覚えています。

鍼灸の妙は痛む部位がイコール治療場所ではないということです。なかなか難しいですがそういうツボを見つけて早く症状が良くなると患者さんは感動されます。もちろん治療者もですが・・。
膝が痛いのは膝が悪いから?膝が悪いからって膝に湿布貼っていれば治るってものではないんですね。

打撲に鍼灸は効く(ある打撲の顛末)

「打撲に鍼灸は効く」というタイトルはなかなか意味深・興味があるようで鍼灸うえだのブログでもよく読まれているページのようです。今回は最近あった打撲の鍼灸治療を事細かく紹介します。

患者さん ??歳 女性 鍼灸うえだには開院から来院されています。転ぶことが多く以前にも打撲の鍼灸治療を行っています。その時は玄関にて転倒されて膝を強く打ちました。すぐに整形外科を受療されましたが、その時整形外科の先生は注射で膝の内出血している血液を抜いたそうです。膝の痛みは断然早く良くなりました。整形外科に受領後、鍼灸うえだに来院され膝以外で転倒したことによる衝撃部位を三稜針で打ち吸玉をしました。計4回の治療にて完治しました。というように打ち身・打撲に鍼灸が良く効くとご存じだった患者さんです。

夜中にトイレに行き自分の部屋でつまずき置いていた座椅子に右腹部~脇腹にかけて打つ。鍼灸治療は良いことはわかっていたがあいにく日曜日。月曜朝一にて来院。痛いのと息をすると痛む。肋骨なのでヒビが入っていても整形外科では安静と言われるだけだろうと鍼灸を選択。もう「痛い」の言葉しかない。触診すると打った部位は腫れている。肋骨が折れているのか叩打痛を診ようと思ったが「痛い・痛い。」ばかりなので多分わからないと思い断念する。気を取り直し痛みをとることが先決と触診し三稜針が打てる処に三稜針つまり刺絡を行った。本来毫鍼が合う患者さんなので三稜針が痛くないということ自体異常である。三稜針をして吸玉で打撲した処の内出血を取り除いていく。その作業を1時間くらいしただろうか。患者の口から「痛いのマシになってきた。」打撲部位だけでなく右頸椎・胸椎の際あたりも転倒の衝撃がある。そこも刺絡して初日は終わった。帰りには来院時とはうって変わって笑顔が出ていた。
 翌日患者さんはやって来た。「治療後はマシだったが朝起きたらまた一緒みたい。」都合の悪いことに気温が低くなり咳を多くするようになった。咳をすると右腹部・脇腹が痛む。また今日も「痛い、痛い。」の連発。昨日と同じように打撲部位に刺絡。今日も吸玉に血が吸われていく。打撲部位もだんだんと腫れが小さくなっているようで最初に疑っていた骨折やヒビは大丈夫そうに感じてきた。昨日と同じ治療では結果もそう変わらないだろうと今回はパイオネックス(円皮鍼)を打撲部位に付けてみた。触診すると皮膚と内部組織の間になんかブヨブヨするようなものが感じられたので取りあえず・・・。
 次の日来院。パイオネックスを貼った処が痛かったと患者さん談。やっぱり三稜針の皮膚に毫鍼は効かないんだ~と思い反省。単純なミスです。痛みの範囲は減ったもののやはり痛い。やはり三稜針で刺絡でないと前回と同じように治療。帰りはすこぶる痛みがマシでこのまま良くなっていけばいいのにと思っていたけど・・・。
 次の日「痛いです。」もう刺絡もそうそうできないし。お腹周りなので比較的皮膚が柔らかい。三稜針でお腹の皮膚にアプローチするのもどうかなというくらい皮膚も柔らかくなってきた。もう三稜針は不適合。毫鍼はパイオネックスで失敗してるし。と悩んだ挙句、棒灸。打撲部位にタオルを置いて棒灸で暖め作戦。最初は「痛い、痛い。」でしたが、だんだんと「気持ちいい、痛みがマシになってきた。」ここはお灸か。打撲部位に炎症があると思いお風呂もシャワーのみだそうで。今日は身体全体が冷えていたんだね。お灸を主に治療をしていくと痛みがとれて「楽です。」
昨日で10回目の治療でした。本人曰く「少し痛い。あと朝一は痛みがある」とのこと。動作も早くなり1か月にそんなキツイ打撲があったとは思えないくらいに回復です。

三稜針(刺絡)と毫鍼(5回目から三稜針から毫鍼に切り替え)と灸を駆使すれば結構こういった打撲にも鍼灸治療って効くんですね。大抵の場合整形外科と併用で来院されるので主なところは整形外科に委ねられますが、今回は一から十まで鍼灸のみ、打撲・打ち身に鍼灸が効くことが証明される症例でした。 

花粉症は鍼灸で治る? 経過観察中です。 

今回の症状は「花粉症」です。最近は「花粉症」の方が増えましたね。マスクが市民権を得ましたから花粉症をある程度防げますし、鼻水が出てもわからないし結構便利ですね。「花粉症」は期間限定なので治療すると言うよりはその期間マシな状態でいることを願う患者さんが多いように思います。2月の中旬から3月下旬に杉花粉・その後ヒノキ花粉と立て続け、5月の下旬頃には一応落ち着くよう。なかなか大変な2~5月の間。会社は決算があったり、官庁は年度末であったりと忙しい時期と重なるので皆さんずいぶんつらい思いをされているようです。

現状では「花粉症」にこのツボを使うと良くなるといった勝利の方程式はありません。ただ私の今までの鍼灸人生の中では「肩こり・首のこりをとると花粉症の症状はマシになる」といったことはわかっています。花粉症の治療をしたつもりではないのだけれど「花粉症の症状が軽くなった」と言われます。私は常々「肩こり・特に首のこりは顔の症状に影響しやすい」ということを患者さんに説明しています。つまり肩や首がこっていると顔(目・鼻・口など)の症状が出やすいということ。以前の職場で花粉症の方のほとんどに「花粉症がマシなのはいつ?」という質問をしました。「肩こり(首こり)がマシな時」という答えでした。首や肩のこりがマシであったら花粉症の症状も軽いということなのです。

現在、鍼灸うえだでは「花粉症が治った!」という患者さんがおられます。花粉症の症状は一切出ないそうです。ただ、私の中では何がどう良くなったか理解できていません。良くなったのはいいのだけど、どのツボを使ったからとかこんな治療をしたからといったことがわからないです。現在 良く言われているのが「免疫系に良く効くのが腸内環境」なんて言われていますよね。花粉症が治ったと言われる患者さんは消化器系が弱かったのですが、鍼灸治療のおかげで消化器系が随分と強くなってきていると思います。

現在 鍼灸うえだでは花粉症の治療として 肩や首のこりを少なくすること、消化器系(胃や腸の動きを良くする)を強くする この2点を重要視して治療しています。また「このツボが花粉症に効く」といったツボを探索中です。今年は「花粉症を治して!」と患者さんからの依頼を受けていますので見つけていけたらと思っています。発見したらまたこのブログで報告します。

でも 花粉症の方 一度鍼灸治療を受けてみてください、今までと違うと思われますよ。

手が冷たいって気になるよね

私は鍼灸師ですが、患者さんを触診をする手前、手が冷たいっていうのは凄く気にします。まだまだひよっこの頃は手が温まらず冷たい手で患者さんを触り嫌な思いをさせた記憶があります。だんだんとこの仕事の歴史が長くなると勝手に手が温かくなってくれます。あんまり手が冷たいことを気にしなくよくなるものだと自分の体験から思っています。

今回の患者さんは「手が冷たい」と言われる作業療法士の女性。仕事歴も長いので前述の話では手が冷たいなんて無縁なこと。「2,3年前より手が冷たい、もちろん仕事の際にも気を使う」とのこと。触るとホントに冷たい。こりゃ大変だ。今まで温かったらしく2、3年前からだから・・。原因は2つ。ひとつは肩・首・ついでに肩甲骨あたりの凝り。これが手に対して血液循環を阻害している。もうひとつは胃腸の働きが落ちている。胃腸の働きが悪いと身体は内臓に血液をまわすので末端の手足は血液の循環が悪くなり冷たくなるのです。この二つを説明し、いざ治療!首・肩の治療で少し右手が温かくなってきた。肩甲骨内を治療すると右手はポカポカするらしい。ホントかなと思って触らせてもらうとさっきとは全然違う。この患者さん首・肩・肩甲骨周りがよく凝っていたのと、やはり胃腸の働きが悪かったようです。治療が終わる頃には手がポカポカ、鍼灸が初めての患者さんだったのでこんなに即効性があることに衝撃的だったようです。

鍼灸は「痛くない・熱くない」ものです。いやいや「気持ちのいいもの」です。この患者さんのように鍼灸に良い印象を持っていただくと業界人として幸せですね。