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打撲に鍼灸は効く(ある打撲の顛末)

「打撲に鍼灸は効く」というタイトルはなかなか意味深・興味があるようで鍼灸うえだのブログでもよく読まれているページのようです。今回は最近あった打撲の鍼灸治療を事細かく紹介します。

患者さん ??歳 女性 鍼灸うえだには開院から来院されています。転ぶことが多く以前にも打撲の鍼灸治療を行っています。その時は玄関にて転倒されて膝を強く打ちました。すぐに整形外科を受療されましたが、その時整形外科の先生は注射で膝の内出血している血液を抜いたそうです。膝の痛みは断然早く良くなりました。整形外科に受領後、鍼灸うえだに来院され膝以外で転倒したことによる衝撃部位を三稜針で打ち吸玉をしました。計4回の治療にて完治しました。というように打ち身・打撲に鍼灸が良く効くとご存じだった患者さんです。

夜中にトイレに行き自分の部屋でつまずき置いていた座椅子に右腹部~脇腹にかけて打つ。鍼灸治療は良いことはわかっていたがあいにく日曜日。月曜朝一にて来院。痛いのと息をすると痛む。肋骨なのでヒビが入っていても整形外科では安静と言われるだけだろうと鍼灸を選択。もう「痛い」の言葉しかない。触診すると打った部位は腫れている。肋骨が折れているのか叩打痛を診ようと思ったが「痛い・痛い。」ばかりなので多分わからないと思い断念する。気を取り直し痛みをとることが先決と触診し三稜針が打てる処に三稜針つまり刺絡を行った。本来毫鍼が合う患者さんなので三稜針が痛くないということ自体異常である。三稜針をして吸玉で打撲した処の内出血を取り除いていく。その作業を1時間くらいしただろうか。患者の口から「痛いのマシになってきた。」打撲部位だけでなく右頸椎・胸椎の際あたりも転倒の衝撃がある。そこも刺絡して初日は終わった。帰りには来院時とはうって変わって笑顔が出ていた。
 翌日患者さんはやって来た。「治療後はマシだったが朝起きたらまた一緒みたい。」都合の悪いことに気温が低くなり咳を多くするようになった。咳をすると右腹部・脇腹が痛む。また今日も「痛い、痛い。」の連発。昨日と同じように打撲部位に刺絡。今日も吸玉に血が吸われていく。打撲部位もだんだんと腫れが小さくなっているようで最初に疑っていた骨折やヒビは大丈夫そうに感じてきた。昨日と同じ治療では結果もそう変わらないだろうと今回はパイオネックス(円皮鍼)を打撲部位に付けてみた。触診すると皮膚と内部組織の間になんかブヨブヨするようなものが感じられたので取りあえず・・・。
 次の日来院。パイオネックスを貼った処が痛かったと患者さん談。やっぱり三稜針の皮膚に毫鍼は効かないんだ~と思い反省。単純なミスです。痛みの範囲は減ったもののやはり痛い。やはり三稜針で刺絡でないと前回と同じように治療。帰りはすこぶる痛みがマシでこのまま良くなっていけばいいのにと思っていたけど・・・。
 次の日「痛いです。」もう刺絡もそうそうできないし。お腹周りなので比較的皮膚が柔らかい。三稜針でお腹の皮膚にアプローチするのもどうかなというくらい皮膚も柔らかくなってきた。もう三稜針は不適合。毫鍼はパイオネックスで失敗してるし。と悩んだ挙句、棒灸。打撲部位にタオルを置いて棒灸で暖め作戦。最初は「痛い、痛い。」でしたが、だんだんと「気持ちいい、痛みがマシになってきた。」ここはお灸か。打撲部位に炎症があると思いお風呂もシャワーのみだそうで。今日は身体全体が冷えていたんだね。お灸を主に治療をしていくと痛みがとれて「楽です。」
昨日で10回目の治療でした。本人曰く「少し痛い。あと朝一は痛みがある」とのこと。動作も早くなり1か月にそんなキツイ打撲があったとは思えないくらいに回復です。

三稜針(刺絡)と毫鍼(5回目から三稜針から毫鍼に切り替え)と灸を駆使すれば結構こういった打撲にも鍼灸治療って効くんですね。大抵の場合整形外科と併用で来院されるので主なところは整形外科に委ねられますが、今回は一から十まで鍼灸のみ、打撲・打ち身に鍼灸が効くことが証明される症例でした。 

花粉症は鍼灸で治る? 経過観察中です。 

今回の症状は「花粉症」です。最近は「花粉症」の方が増えましたね。マスクが市民権を得ましたから花粉症をある程度防げますし、鼻水が出てもわからないし結構便利ですね。「花粉症」は期間限定なので治療すると言うよりはその期間マシな状態でいることを願う患者さんが多いように思います。2月の中旬から3月下旬に杉花粉・その後ヒノキ花粉と立て続け、5月の下旬頃には一応落ち着くよう。なかなか大変な2~5月の間。会社は決算があったり、官庁は年度末であったりと忙しい時期と重なるので皆さんずいぶんつらい思いをされているようです。

現状では「花粉症」にこのツボを使うと良くなるといった勝利の方程式はありません。ただ私の今までの鍼灸人生の中では「肩こり・首のこりをとると花粉症の症状はマシになる」といったことはわかっています。花粉症の治療をしたつもりではないのだけれど「花粉症の症状が軽くなった」と言われます。私は常々「肩こり・特に首のこりは顔の症状に影響しやすい」ということを患者さんに説明しています。つまり肩や首がこっていると顔(目・鼻・口など)の症状が出やすいということ。以前の職場で花粉症の方のほとんどに「花粉症がマシなのはいつ?」という質問をしました。「肩こり(首こり)がマシな時」という答えでした。首や肩のこりがマシであったら花粉症の症状も軽いということなのです。

現在、鍼灸うえだでは「花粉症が治った!」という患者さんがおられます。花粉症の症状は一切出ないそうです。ただ、私の中では何がどう良くなったか理解できていません。良くなったのはいいのだけど、どのツボを使ったからとかこんな治療をしたからといったことがわからないです。現在 良く言われているのが「免疫系に良く効くのが腸内環境」なんて言われていますよね。花粉症が治ったと言われる患者さんは消化器系が弱かったのですが、鍼灸治療のおかげで消化器系が随分と強くなってきていると思います。

現在 鍼灸うえだでは花粉症の治療として 肩や首のこりを少なくすること、消化器系(胃や腸の動きを良くする)を強くする この2点を重要視して治療しています。また「このツボが花粉症に効く」といったツボを探索中です。今年は「花粉症を治して!」と患者さんからの依頼を受けていますので見つけていけたらと思っています。発見したらまたこのブログで報告します。

でも 花粉症の方 一度鍼灸治療を受けてみてください、今までと違うと思われますよ。

手が冷たいって気になるよね

私は鍼灸師ですが、患者さんを触診をする手前、手が冷たいっていうのは凄く気にします。まだまだひよっこの頃は手が温まらず冷たい手で患者さんを触り嫌な思いをさせた記憶があります。だんだんとこの仕事の歴史が長くなると勝手に手が温かくなってくれます。あんまり手が冷たいことを気にしなくよくなるものだと自分の体験から思っています。

今回の患者さんは「手が冷たい」と言われる作業療法士の女性。仕事歴も長いので前述の話では手が冷たいなんて無縁なこと。「2,3年前より手が冷たい、もちろん仕事の際にも気を使う」とのこと。触るとホントに冷たい。こりゃ大変だ。今まで温かったらしく2、3年前からだから・・。原因は2つ。ひとつは肩・首・ついでに肩甲骨あたりの凝り。これが手に対して血液循環を阻害している。もうひとつは胃腸の働きが落ちている。胃腸の働きが悪いと身体は内臓に血液をまわすので末端の手足は血液の循環が悪くなり冷たくなるのです。この二つを説明し、いざ治療!首・肩の治療で少し右手が温かくなってきた。肩甲骨内を治療すると右手はポカポカするらしい。ホントかなと思って触らせてもらうとさっきとは全然違う。この患者さん首・肩・肩甲骨周りがよく凝っていたのと、やはり胃腸の働きが悪かったようです。治療が終わる頃には手がポカポカ、鍼灸が初めての患者さんだったのでこんなに即効性があることに衝撃的だったようです。

鍼灸は「痛くない・熱くない」ものです。いやいや「気持ちのいいもの」です。この患者さんのように鍼灸に良い印象を持っていただくと業界人として幸せですね。

これって胸郭出口症候群?

 胸郭出口症候群、鍼灸学校で1年生の時ならった、ライトテストとかするやつ。もう20年以上も前のことなのでうろ覚えで思い出すのがやっとという状態。「肩や腕が痛む、それだけでなくだるさ痺れを伴い手がむくむ、冷えるといった血液循環障害がある」といった症状かな。

今回は整形外科でその胸郭出口症候群と診断された患者さん。お仕事は設計の仕事で細かい作業が多い。仕事を一生懸命していたら手が痺れてきた。診察してもらうと「胸郭出口症候群」と診断された。でも色々あって治療には至ってないらしい。前述したとおり症状がうろ覚えだったので「どんな感じ?」と尋ねると「座って手に力を入れると入るんですが、立つと手に力が入らなくなるんです。」とのこと。エッ胸郭出口ってそんな感じだったけ。少なくとも手は挙げてないぞ。それにその姿勢の変化は上半身はあんまり変わっていない。どういうこと?と頭の中でグルグルと「はてな」マークが出てくる。それって胸郭出口じゃないんじゃないの。じゃあどこが悪いの?エ~どうしよ。と少し焦り気味。問診が終わり触診。とりあえず前腕を触ってみる。何でこんなに硬いんだ。「今日何か持った?重いもの」「いいえ」「ずいぶん前腕硬いよね、いつもこんなん?」「はいそうです。」奥さんも一緒に来院だったので奥さんにも訊いてみたら「いつもこんなんです、たまにマッサージするけど柔らかくならないんです。」前腕の筋肉の奥の方がカチカチ、これなら血液循環悪いかな、これを柔らかくするとマシになるかなという感じで肩・首の治療を始めた。皮膚が硬いので三稜針を使うのだが、出血をみるほどではないので中くらいの三稜針いわゆる中三でパカパカと肩・首を打つ。この患者さんは鍼灸初めてなので鍼灸のイメージを悪くしないようなおかつ効果を出さないと!!
中三で打っていくとだんだんと首肩が柔らかくなっていく。ついでに前腕を触診すると明らかに先程と違う。柔らかくなっている。患者さんに「今 手の感じどう?」「何か軽いです」「じゃあ立って手に力を入れてみてよ。」「先生 力はいます。」「良かったね。」というような会話が続きました。手にはまだ鍼もしていない状態でしたが、首肩の治療で変化があったようです。

患者さんは痛い処を訴えますが、痛い処と治療する処は違うことも多いです。基本的に手は頸椎や胸椎、足は腰が根っこです。枝葉ばかりを見ていないで根っこを治さないと症状は完治しません。
前述の患者さんはまだ初回なのでまだどうなるかわかりませんが、喜んでお帰りになりました。
私も昔の教科書を見直そうと思った1症例でした。でも鍼灸って不思議ですね。

最近の失敗(ぎっくり腰)

日々患者さんを少しでも良くしようと思って治療していますが最近治療の失敗がありました。反省を込めてアップしたいと思います。
京都マラソンに参加予定の患者さん、本番2日前に右腰がぎっくり腰になりそうと来院。この患者さんは刺激の質でいけば 三稜針(鍼で皮膚を切って吸玉かけて血を抜く治療)がいいかなと思ったけど2日後には42.195キロ走るんだ~、じゃあ三稜針は少し刺激が強いかなと思い直して毫鍼治療に変更。もちろん帰り際には「良くなった」と言う声を聴いて終了。京都マラソンが終わっていつものメンテナンスの電話があり「無事走ったけど、治療の翌日腰が痛くなった。」「マラソン本番では痛み止め飲んでたからなんとかいけた、昨年より記録が上がった。」なんてガックリ。今回は鍼灸の効果がなかったのねなんてね。メンテナンスで診た彼の腰はやはり三稜針がよく合う皮膚でした。その日の治療は刺絡で腰の治療をしましたが、ドロッとした血液が出るわ出るわ、これじゃあ痛いよねて感じでした。結局翌日も治療して長引いた腰痛でした。変に頭で色々な事を考えたのがいけなかったのでしょう。触診して感じたままに治療をしないと失敗してしまう一例でした。
そう思っていた矢先またもやぎっくり腰になったと別の患者さん。よし今度は失敗しないぞと治療をしました。刺激はやはり三稜針、刺絡ですね。よく考えればぎっくり腰って「腰椎捻挫」なんだから迷わず三稜針使ったらいいのに、へんなこだわりがあったかな。ぎっくり腰はスッキリになって帰っていただきました。ただ、この患者さん2日前に来院されているんです。前回の治療の2日後にぎっくり腰になるなんて前回の治療で何を診ていたのか反省です。だんだんと良くなることを目指しているのに治療がマンネリだったのかなと反省です。

次回は、ばっちし良い治療の報告をアップしたい思います。次回は頑張る!