胸郭出口症候群、鍼灸学校で1年生の時ならった、ライトテストとかするやつ。もう20年以上も前のことなのでうろ覚えで思い出すのがやっとという状態。「肩や腕が痛む、それだけでなくだるさ痺れを伴い手がむくむ、冷えるといった血液循環障害がある」といった症状かな。
今回は整形外科でその胸郭出口症候群と診断された患者さん。お仕事は設計の仕事で細かい作業が多い。仕事を一生懸命していたら手が痺れてきた。診察してもらうと「胸郭出口症候群」と診断された。でも色々あって治療には至ってないらしい。前述したとおり症状がうろ覚えだったので「どんな感じ?」と尋ねると「座って手に力を入れると入るんですが、立つと手に力が入らなくなるんです。」とのこと。エッ胸郭出口ってそんな感じだったけ。少なくとも手は挙げてないぞ。それにその姿勢の変化は上半身はあんまり変わっていない。どういうこと?と頭の中でグルグルと「はてな」マークが出てくる。それって胸郭出口じゃないんじゃないの。じゃあどこが悪いの?エ~どうしよ。と少し焦り気味。問診が終わり触診。とりあえず前腕を触ってみる。何でこんなに硬いんだ。「今日何か持った?重いもの」「いいえ」「ずいぶん前腕硬いよね、いつもこんなん?」「はいそうです。」奥さんも一緒に来院だったので奥さんにも訊いてみたら「いつもこんなんです、たまにマッサージするけど柔らかくならないんです。」前腕の筋肉の奥の方がカチカチ、これなら血液循環悪いかな、これを柔らかくするとマシになるかなという感じで肩・首の治療を始めた。皮膚が硬いので三稜針を使うのだが、出血をみるほどではないので中くらいの三稜針いわゆる中三でパカパカと肩・首を打つ。この患者さんは鍼灸初めてなので鍼灸のイメージを悪くしないようなおかつ効果を出さないと!!
中三で打っていくとだんだんと首肩が柔らかくなっていく。ついでに前腕を触診すると明らかに先程と違う。柔らかくなっている。患者さんに「今 手の感じどう?」「何か軽いです」「じゃあ立って手に力を入れてみてよ。」「先生 力はいます。」「良かったね。」というような会話が続きました。手にはまだ鍼もしていない状態でしたが、首肩の治療で変化があったようです。
患者さんは痛い処を訴えますが、痛い処と治療する処は違うことも多いです。基本的に手は頸椎や胸椎、足は腰が根っこです。枝葉ばかりを見ていないで根っこを治さないと症状は完治しません。
前述の患者さんはまだ初回なのでまだどうなるかわかりませんが、喜んでお帰りになりました。
私も昔の教科書を見直そうと思った1症例でした。でも鍼灸って不思議ですね。