ブログ
ブログ一覧
手が冷たいって気になるよね
私は鍼灸師ですが、患者さんを触診をする手前、手が冷たいっていうのは凄く気にします。まだまだひよっこの頃は手が温まらず冷たい手で患者さんを触り嫌な思いをさせた記憶があります。だんだんとこの仕事の歴史が長くなると勝手に手が温かくなってくれます。あんまり手が冷たいことを気にしなくよくなるものだと自分の体験から思っています。
今回の患者さんは「手が冷たい」と言われる作業療法士の女性。仕事歴も長いので前述の話では手が冷たいなんて無縁なこと。「2,3年前より手が冷たい、もちろん仕事の際にも気を使う」とのこと。触るとホントに冷たい。こりゃ大変だ。今まで温かったらしく2、3年前からだから・・。原因は2つ。ひとつは肩・首・ついでに肩甲骨あたりの凝り。これが手に対して血液循環を阻害している。もうひとつは胃腸の働きが落ちている。胃腸の働きが悪いと身体は内臓に血液をまわすので末端の手足は血液の循環が悪くなり冷たくなるのです。この二つを説明し、いざ治療!首・肩の治療で少し右手が温かくなってきた。肩甲骨内を治療すると右手はポカポカするらしい。ホントかなと思って触らせてもらうとさっきとは全然違う。この患者さん首・肩・肩甲骨周りがよく凝っていたのと、やはり胃腸の働きが悪かったようです。治療が終わる頃には手がポカポカ、鍼灸が初めての患者さんだったのでこんなに即効性があることに衝撃的だったようです。
鍼灸は「痛くない・熱くない」ものです。いやいや「気持ちのいいもの」です。この患者さんのように鍼灸に良い印象を持っていただくと業界人として幸せですね。
これって胸郭出口症候群?
胸郭出口症候群、鍼灸学校で1年生の時ならった、ライトテストとかするやつ。もう20年以上も前のことなのでうろ覚えで思い出すのがやっとという状態。「肩や腕が痛む、それだけでなくだるさ痺れを伴い手がむくむ、冷えるといった血液循環障害がある」といった症状かな。
今回は整形外科でその胸郭出口症候群と診断された患者さん。お仕事は設計の仕事で細かい作業が多い。仕事を一生懸命していたら手が痺れてきた。診察してもらうと「胸郭出口症候群」と診断された。でも色々あって治療には至ってないらしい。前述したとおり症状がうろ覚えだったので「どんな感じ?」と尋ねると「座って手に力を入れると入るんですが、立つと手に力が入らなくなるんです。」とのこと。エッ胸郭出口ってそんな感じだったけ。少なくとも手は挙げてないぞ。それにその姿勢の変化は上半身はあんまり変わっていない。どういうこと?と頭の中でグルグルと「はてな」マークが出てくる。それって胸郭出口じゃないんじゃないの。じゃあどこが悪いの?エ~どうしよ。と少し焦り気味。問診が終わり触診。とりあえず前腕を触ってみる。何でこんなに硬いんだ。「今日何か持った?重いもの」「いいえ」「ずいぶん前腕硬いよね、いつもこんなん?」「はいそうです。」奥さんも一緒に来院だったので奥さんにも訊いてみたら「いつもこんなんです、たまにマッサージするけど柔らかくならないんです。」前腕の筋肉の奥の方がカチカチ、これなら血液循環悪いかな、これを柔らかくするとマシになるかなという感じで肩・首の治療を始めた。皮膚が硬いので三稜針を使うのだが、出血をみるほどではないので中くらいの三稜針いわゆる中三でパカパカと肩・首を打つ。この患者さんは鍼灸初めてなので鍼灸のイメージを悪くしないようなおかつ効果を出さないと!!
中三で打っていくとだんだんと首肩が柔らかくなっていく。ついでに前腕を触診すると明らかに先程と違う。柔らかくなっている。患者さんに「今 手の感じどう?」「何か軽いです」「じゃあ立って手に力を入れてみてよ。」「先生 力はいます。」「良かったね。」というような会話が続きました。手にはまだ鍼もしていない状態でしたが、首肩の治療で変化があったようです。
患者さんは痛い処を訴えますが、痛い処と治療する処は違うことも多いです。基本的に手は頸椎や胸椎、足は腰が根っこです。枝葉ばかりを見ていないで根っこを治さないと症状は完治しません。
前述の患者さんはまだ初回なのでまだどうなるかわかりませんが、喜んでお帰りになりました。
私も昔の教科書を見直そうと思った1症例でした。でも鍼灸って不思議ですね。
最近の失敗(ぎっくり腰)
日々患者さんを少しでも良くしようと思って治療していますが最近治療の失敗がありました。反省を込めてアップしたいと思います。
京都マラソンに参加予定の患者さん、本番2日前に右腰がぎっくり腰になりそうと来院。この患者さんは刺激の質でいけば 三稜針(鍼で皮膚を切って吸玉かけて血を抜く治療)がいいかなと思ったけど2日後には42.195キロ走るんだ~、じゃあ三稜針は少し刺激が強いかなと思い直して毫鍼治療に変更。もちろん帰り際には「良くなった」と言う声を聴いて終了。京都マラソンが終わっていつものメンテナンスの電話があり「無事走ったけど、治療の翌日腰が痛くなった。」「マラソン本番では痛み止め飲んでたからなんとかいけた、昨年より記録が上がった。」なんてガックリ。今回は鍼灸の効果がなかったのねなんてね。メンテナンスで診た彼の腰はやはり三稜針がよく合う皮膚でした。その日の治療は刺絡で腰の治療をしましたが、ドロッとした血液が出るわ出るわ、これじゃあ痛いよねて感じでした。結局翌日も治療して長引いた腰痛でした。変に頭で色々な事を考えたのがいけなかったのでしょう。触診して感じたままに治療をしないと失敗してしまう一例でした。
そう思っていた矢先またもやぎっくり腰になったと別の患者さん。よし今度は失敗しないぞと治療をしました。刺激はやはり三稜針、刺絡ですね。よく考えればぎっくり腰って「腰椎捻挫」なんだから迷わず三稜針使ったらいいのに、へんなこだわりがあったかな。ぎっくり腰はスッキリになって帰っていただきました。ただ、この患者さん2日前に来院されているんです。前回の治療の2日後にぎっくり腰になるなんて前回の治療で何を診ていたのか反省です。だんだんと良くなることを目指しているのに治療がマンネリだったのかなと反省です。
次回は、ばっちし良い治療の報告をアップしたい思います。次回は頑張る!
帯状疱疹には鍼灸を。
今回のお話は「帯状疱疹」、よくヘルペスと言われていますね。帯状疱疹には是非鍼灸で治療して欲しいのです。なぜかと言いますと・・・。まず帯状疱疹のおさらいからしましょう。子供の時に大抵の人は水疱瘡にかかります。水疱瘡自体は治りますがそのウイルスは身体に残ったままなのです。そのウイルスが三叉神経や脊髄神経の知覚神経節に潜伏しています。普段では何にも起こらないのですが、ストレスや過労などで身体が弱った時に活動を始め、神経に伝わって皮膚に現れ炎症を起こします。これが帯状疱疹です。神経に沿って現れるので帯状に出てくる疱疹なので「帯状疱疹」。
日頃から良い睡眠を摂っている、疲れをとっていると帯状疱疹になることなんてまずありません。あんまりお疲れ様にならないでくださいね、3月は決算が多いし・・・。鍼灸治療は鍼やお灸をすることで全身の血行を良くして日々の疲れもとってくれます。つまり鍼灸をしていると「帯状疱疹」にはかかりにくいということですね。あと鍼灸治療は痛みにとても有効であるということ、まして神経痛などは鍼灸治療の適応のど真ん中です。「帯状疱疹」は水疱が治った後も神経痛だけが残ります。鍼灸治療で帯状疱疹を治療するとあとの神経痛も一緒に治療できるのです。以前大師はり灸療院で仕事をしていた時 5年前に「帯状疱疹」になった、その後の神経痛がピリピリすると来院された患者さんがいます。治療後は少しマシなんだけどピリピリはスッキリとは取れなかったように伺いました。
今回の患者さん、もちろん「帯状疱疹」です。年齢は10歳。こんなの初めて。10歳なので取りあえず小児はりで全身の疲れをとるように治療。次に帯状疱疹に向けて更なる治療。水疱は左の腹部にある。水疱には触れず肋間神経に沿って小児はり。あとテイ鍼を使って胸椎左際を圧鍼。あとは早めに就寝するように指示。10歳でも帯状疱疹になるんだ~と言うのがめちゃくちゃ印象的。
そうそう昨年の秋に臨床家育成会のメンバーと治療大会をしてた時、一人のメンバーに左脇に水疱らしきものが・・・。「ヘルペス?」と一瞬よぎったので水疱らしきものをしっかりと確認。確認の目的はたまに「虫刺され」があるんです。ただ「虫刺され」の場合は刺された跡が2個付いていることが多いんです。確認したけど「虫刺され」ぽくないので、とりあえず「帯状疱疹」疑惑のまま帯状疱疹の治療をしました。後日に本人より「治療の後すぐ水疱はなくなった、その後の神経痛様の痛みもない」と報告を受けました。ヘルペス?虫刺され?疑惑は残りますがあと何もなければその時の治療は無駄ではなかったと思っています。
先に書いたように疲れを溜めこむと帯状疱疹になりやすいです。やはり疲れたなと感じた時は早めの就寝もしくは早めの鍼灸治療をお勧めします。
不妊治療の患者さんから赤ちゃん誕生しました。
鍼灸うえだでは[不妊治療します」と宣伝はしていませんがお悩みの方には通常治療に加えて不妊治療をしています。当院第一号の不妊治療の患者さんから赤ちゃんが誕生しました。おめでとうございます。不妊治療と言っても大したことするのではないのであんまり大々的に言えないんですね。まずはお母さんの身体をいい状態にすること。特に足腰を温かい状態に保てるよう鍼灸治療を施すといったところでしょうか。
今回は赤ちゃん誕生と共に訪れる育児について少しだけ書いていきます。私が推奨する妊婦さん生活はまず体調良く過ごすこと。出産には体力が要ります。いざと言う時の為に体力温存。お産の時間は人によって異なりますが出来るだけ早い方が体力を消耗しません。前の職場で長時間お産にかかったママさんの話を聞きましたが、無事出産が終わり、やれやれと思った時に「は~い、赤ちゃんですよ」と看護婦さんから渡されたとき、「一瞬ムカッと来た!」と言われていました。男性では想像できませんがそういう気持ちにもなるんですね。出産が終わるとその時点から育児が始まります。やはり赤ちゃんはママでないとうまくいきません。やっぱり体力、体力。
新生児でよくあるのが昼夜逆転。お昼はスヤスヤと眠ってくれるのに夜になるとおめめがぱっちり。ママは赤ちゃんにお付き合いしなければなりません。泣くのは気になるし、夜泣くと泣き声がご近所に響くし、パパには稼いでもらわないといけないのでとりあえず寝てもらって・・・。昼夜逆転は小児はりで良くなります。一度お試しあれ。あとは乳吐き。一気にお乳を飲んだりして、胃腸が少し悪い状態なんかでなります。(赤ちゃんも人間ですから胃腸の働きが悪くなったりするんですよ)
でも一番気をつけてほしいのは「赤ちゃんのゲップ」。ママは赤ちゃんのゲップ出していますか?これくらいいいやとか思わず、しっかりゲップを出してください。赤ちゃんはお乳を吸いながら空気も一杯吸っています。ゲップを出さないとお腹がパンパン。お腹がパンパンだとお腹が張ってきて気分悪い、眠れないといった悪循環を引き起こすのです。そう夜泣きとも関係があるのです。だからママは頑張ってゲップを出してあげてください。それだけでも育児が楽になるかも。
現在、育児うつになるママが増えているそうです。今までお腹の中でしっかりと大きくして、これから実際に育児ができるのに、育児うつなんて・・・。昔、患者さんから興味深い話を聞きました。「子供って3歳までに親孝行するんだって。」3歳までは親の言うことをきき、寝顔は天使のよう、「親になって良かった!」と思うことって多いですよね。その3歳までにいい子育てをして欲しい。
育児が楽しいとは断言はできませんが、できれば楽しいと思ってしてもらいたい。それはママやパパの笑顔が赤ちゃんをもっと笑顔にするから。
新米ママさんはとりあえず「ゲップ」を頑張ろう、ダメならもう小児はりですね。