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またまた打撲を治療する
今回のお話は「またまた打撲を治療する」です。エ~打撲なんか鍼灸で治せるの?なんて思っている方も多いでしょう。私のブログの中でも一番に読まれているページは「打撲」についてです。鍼灸うえだの患者さんも打撲は鍼灸って認知されているので圧倒的に 打撲や打ち身後すぐに来院されます。患者さんの言葉を借りれば「一番治りが早い!」とのことです。
今回のケースは打撲を結構治療してきた私ですが、なかなかの強敵でした。ブログが書けるのは患者さんがやっと治られたからです。
この患者さんよく打撲されます。以前にブログで書いた お腹を強打して刺絡で治した ことのある女性。またまたやっちゃいました。今回は何故か玄関で滑ってこけたそうです。その時 前のめりになって両手で支えたもののお顔も床に強打した模様です。後からわかったのは 打ったところは 顔面(右側)支えた両手(手のひら・手の指)右胸 が主なところでした。(後からぼちぼち痛いところが増えました)まずは 整形外科へ。骨折などは無く取り合えず湿布をもらってから鍼灸うえだに来院。「先生~!またこけちゃいました。」今回の強敵は打撲からの「痺れ」手のひらで支えたのか両指が全部痺れてる。指を触ろうものなら ビクッ「痛い!」勿論両指全部。それだけでなく肩関節から肘辺りも触ると痛い。触るところ ことごとく痛いって感じ。それら痛いところは触れず、とにかく頸椎・胸椎を診ると明らかに歪んでいる。(毎週来院される患者さんなので頸椎・胸椎の感じがいつもと違うことはわかる。まずは頸椎や胸椎の打撲で衝撃があったと思われる部位に刺絡する。勿論ドス黒い血液がカップに出てきます。この症状の初回は背中(頸椎・胸椎)の刺絡と鍼灸うえだ独自の身体の歪みを治す鍼で終わりました。
次の来院時には 指が全部痺れるのは無くなったが 両方の示指・中指・薬指が痺れてる・痛みがある それと右脇が痛むとのことでした。その日も頸椎・胸椎に刺絡しました。右脇の痛みについては肋間神経痛の類いと考え胸椎は刺絡・脇からお腹にかけては毫鍼を打ちました。あと示指・中指・薬指にはセイリン製J15を打ちました。治療後は指の痺れも少しマシでした。
そのあと5回治療しましたが指と肘の辺りは一進一退でさほど変化がなかった、勿論治療後はマシになるのですが良くなるようではなかったです。その間 右脇には刺絡して良くなりました。指3本にはお灸も加えましたがマシになるだけで次回来院時にはやはり痺れ・痛みがあるとのこと。実は鍼灸うえだで見つけた「刺絡の法則」を忘れていました。それはその神経の元(この場合頸椎・胸椎)を刺絡するときはその痛みがあるところ(この場合 指)に直接刺絡すると良くなるというものです。鍼灸うえだでずいぶん刺絡しているとそういった法則性を見つけることができます。
そのあと痺れてる指に刺絡すると症状の改善。痺れも痛みも無くなりました。先日には痺れ痛みは右の示指だけになりそれも刺絡をすることによって良くなったようです。あと、肘辺りの痛みも肘周囲で刺絡しました。それで痛みが無くなりました。もっと早く法則に従っていれば早く良くなったと思います。
今回の敵は「痺れ」でした。痛みは取れやすいが痺れは取れにくい といいます。整形外科では「頚椎症」と診断されましたが、良くなられて幸いです。今回は少し時間がかかりましたが、いい勉強になりました。
でももう「こけないで!」と思いますね。
ツボは反応することがわかった。
今回のテーマは「ツボは反応する」です。もう25年以上鍼灸に関わってきて 今更! という話ですが・・・。
勿論、人の体には 361のツボがあり 身体の症状に応じてツボが反応して 押さえると気持ち良かったり、痛かったりとなることはわかっています。今回のケースは明らかにわかりやすく また患者さんも私も感じたことなので特に書いてみます。
その患者さんは妊婦さん、7ヵ月。体調管理にはり灸をするのと、今回は産科医から「逆子」と言われ「逆子」治療も兼ねていた。体調管理については段々とお腹も大きくなり、胃がつかえてきてしんどいというのが症状だった。ここでいうツボの反応は 体調管理ではなく 逆子治療である。逆子治療で用いるツボは「至陰」穴。その患者さん、左右両方一緒に触診すると明らかに左のみ痛がる。お灸を左至陰穴にする。お灸を終えた後 確認するとお灸前より痛がらない。逆子治療はうまくできたかなと思ってその日の治療は終わりました。大抵その後に逆子が治っているかどうか産科医にいくか、自分自身でお腹のどこを蹴られているかで逆子が治っているかどうかわかる。今まで次に来院される前に産科医に行くので逆子が治っているかどうかはわかっていることが常でした。ほぼ100%治っていますが・・。
そんな治療をした妊婦さん1週間後に再度来院。産科医の検診も未だ行っておらず、自分自身でも治っているかわからない。今日は 逆子治療が必要なのどうか 前回同様至陰穴を触診した。前回痛く感じたのは左側。両方同時に同じように触診すると痛みがない。患者さんも私も「えっ!痛くないの。」じゃあ今日は至陰のお灸無し。後日逆子がどうなっているか診てもらったら やっぱり正常な位置に戻っていました。
ツボは症状があるときだけ、反応するんだと再度認識した治療でした。
最近あった腰痛治療の話
今回は 最近経験した腰痛患者さんの治療の話です。印象深かったのでブログに載せました。
その患者さんは常連の患者さんです。腰痛は今まででもあるのですが、腰が痛いといった一般的なものでした。今回は少し違う、腰が痛いのと足が痺れる。両膝の周り以外痺れている。勿論足の裏も・・・。今回は坐骨神経痛などではなく知覚神経が調子悪いんだろうなと上向きで寝て両足を触診する。いきなり「やめてください!」痺れているので触られたくないとのこと。まあ確かに嫌だろうとうつむきの姿勢になってもらう。足に毛布を掛けただけで「痛いから外してください!」オイオイ、こんな感じで治せるの?と自分自身に言い聞かせながら、とりあえず、いつもと同じように0番鍼治療。鍼灸うえだは患者が腰が痛いと言っても全身治療をする。鍼・お椀灸をして 「ハイ一度動いてみてください。」何も変わらない。やっぱり無理だったのね。こんな症状初めてなので一応通常通りしたらどうなるか確認。いつもならこれらの刺激でOKなのに。
では治療に変化を加えていきます。鍼灸の基本は 施術部位(ツボ)刺激の質(どんな道具を使うか)刺激量(どれくらい刺激するか)の三つです。触診の感じでは刺激の質は 毫鍼(刺す鍼)でいけるはず。施術部位はとりあえず全身治療したものの足の痺れに変化なしなので ツボと刺激量を変えていきましょう。腰、骨盤に鍼を20本打ちました。鍼は0番から2番に変えて刺入震度も深くしました。その中で鍼を刺入していくと鍼先に硬い物が当たる。筋肉だろうとどんどんと鍼を入れていく。なかなか入りませんけど。2.5cmくらい入れると「先生 左足の感じが変わってきた、毛布が当たっても痛いのがマシ。」と患者の反応。よし、思った通りと10分間そのまま放置状態。今回は腰のみに鍼をしています。
鍼を抜いて腰・足の痺れの状態を確認。左足は痺れが10→3に変化。右は10→5とまだ悪い。では横向き寝てもらってもう一度腰に鍼を打つ。鍼を抜いてもう一度 両足の変化を診ると左10→1、右10→2 とのことでした。
久々の強敵に疲れました。ちなみに治療時間は2時間です。唯々マシになって良かったです。
目が痛くなる症例 (本を読んでて良かった)
今回のテーマは「目が痛い」というテーマです。目が痛いと患者さんから症状を訴えられることがしばしばですが、自分自身がなったことの無い症例はなかなかイメージがわき難く治療としてはうまくいかないこともあります。それが今回うまくいったというお話。
「目が痛い」と云っても原因はいろいろ。ドライアイなのか目にゴミが入ったのか、最近は逆まつげというのもありますね。今回の「目が痛い」は朝起きると玉ねぎを切った時、目に沁みるように痛い感じがあるといったもので玉ねぎを切った時の痛みはわかるけど、そんな感じで痛くなるのねって感じでした。なったことないからイメージだけではわからない。現在、鍼灸うえだでは初診の予約時にある程度患者さんの症状を訊いておく、つまり予習できるので・・・。鍼灸の本をベッドの上に並べ手当たり次第に「目の痛み」を調べる。自分の中で頼りになる本をそこそこ集めているのでそれなりに有効なツボが見付かる。
自分の今までの臨床でのツボと本に書いてあるツボをまとめて患者さんに使ってみる。初診は色々と話を聞いたり、身体の変化を診たりと2時間かけて治療します。とりあえず、目が少し楽かなって感じで帰られました。2時間後、「近くの娘が来てみたら目が充血してる。大丈夫?と言われた。先生、大丈夫ですか?これって好転反応?」と電話がありました。自分の中では目の治療として首・肩のコリをとること、そして予習のツボをちゃんと治療してあるので「大丈夫ですよ、充血はマシになりますから。」とお答えしました。その充血をこの目で見たわけではないので少し不安。2日後また電話があり、「充血はすぐマシになった。朝に目が痛いのもだいぶマシになったので、もう一回行きたい。」とのこと。あ~良かった。
今回使ったツボは「肝兪」なんです。目は肝に属す なんて東洋医学には書いていますよね。ただ「肝兪」ではダメで肝兪の脊柱の際、(澤田流でいくと膀胱経1行線・熱をとるには1行線が有効なんですって)後で思うと 目をよく使う(テレビを長いことじっと見ると目が痛くなったり、お猪口1杯のお酒を飲んだら翌朝すごく痛くなってた って患者さんが問診時に言っていました。ああ、肝に熱を持っていたのねって感じです。ちなみに読んだ本は 代田文誌先生の「鍼灸真髄」です。
本の通りにうまくいくケースはレアですが、なかなか先人の研究・発見には驚かされます。いい勉強になりました。
夜尿症卒業しました。
卒業・入学のシーズンですね。鍼灸うえだでも卒業がありました。そうタイトル通り「夜尿症」の卒業です。鍼灸うえだの卒業規定は生活は通常通り(寝る前に水分制限しない)それが2週間出来れば卒業となります。
この子は小学3年生.夜尿は毎日する。もちろんおねしょをしても自覚して起きることはない。宵のうちにするので寝てから2回する。(両親が就寝時に確認するともうおねしょしている)1日目、2回目は変化がありませんでした。1週間に1回のペースで来院してもらいました。3回目から徐々に良くなり4回くらいは成功するようになりました。なんと7回目には1週間成功となったのですが・・・。2週間で卒業、2週間毎日成功にはなりませんでした。それからまた週3~4回が続きました。なかなか週4の壁が破れず、どうすれば良くなるのか悩みました。同じような治療して良い週(回数が少ない)があったり、悪い週があったり様々です。過去の先輩たちはどのツボを使ったのか、どうしたらよくなったのかを色々調べ試してみるのですが、うまくいったりしなかったりです。その小学3年生の子は1年ちょっと前で卒業でした。
現在も3人の夜尿症の子供を治療しています。「ここをすれば効く」といった方程式があるのではと試行錯誤です。
現在の鍼灸うえだの治療を少し書いてみましょう。
基本は小児はりです。私は大師流の小児はりを使っています。5寸釘みたいなやつです。そうそう夜尿症の患者は基本大人用ベッドに寝かせて治療します。まずはお腹を診ます。お腹にガスが多くないかチェックします。、多い場合は起こしても起きない爆睡をすることが多いように思います。多い時はお腹のガスを出るようにしないといけません。手と足を小児はりするとうつむき治療、背部や腰を治療します。まずは小児はりを全体的に行います。その中で私が重要と思っているのは頸椎1、2番辺りの凝りです。それと腰椎2~3番辺り、あと仙骨です。丹念に小児はりを行います。その棒灸をします。普通の使い方、皮膚に近づけると熱いので少し湿らせたバスタオルの上から棒灸を押し当てます。小児は気持ちいいと言っています。現在ではついでに腎経太渓辺り内踝とお腹のおへそ下にもバスタオル棒灸をします。最後にもう一度首肩を小児はりをして終わります。たぶん小児はりにしては時間長いけど・・・。
最近の傾向として良くなってくるとグーンと良くなります。あっという間に卒業というペースです。未だにそのあたりがわかりませんが・・・・。みんな早く良くなってもらうと嬉しいです。