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やいと祭り行ってきました。
私の7月の恒例行事「やいと祭り」に行ってきました。やいとって?やいととはお灸の西日本の方言だそうです。場所は滋賀県米原市。昔は中山道の宿場町の柏原宿(かしわばら)ここでやいと祭りは行われるんです。なんでやいと祭りなの?古来よりお灸のもぐさは江州(昔の近江・現在の滋賀県)伊吹山産が一番と言われてきました。この柏原宿は伊吹山の麓 艾屋さんが多くあったそうです。今でも亀屋左京という艾屋さんがあります。以前ダイコクドラッグで亀屋左京の艾を発見して感動しました。地元の祭りでは屋台がでたり魚つかみがあったりと老若男女楽しめますが、やいととはほど遠い。そこで鍼灸の普及もかねて私たちが鍼灸治療をすることになったのです。
治療する場所は2カ所。1カ所は冷房の効いた部屋の中、かたや炎天下の中小学校の運動会の時のテントの下に簡易ベッドを作りそこで治療する。私は大抵炎天下の治療が多いのでこれぞ夏の風物詩といった感があります。鍼灸学生も参加してくれてせんねん灸に代表される台座灸を道行く人に体験してもらう。ほんとやいと祭り!って感じ。また小児はり体験もあり、お祭りに子供はつきもので 小児はりを体験するとおもちゃがもらえる仕組みでみんな小児はりを一度は体験するってわけ。色々と盛りだくさんの内容でやいと祭りに今年も臨んだのでした。
大人治療の時間は30分。問診をして具合の悪い処を訊いてそれが改善するよう鍼灸治療をしなければなりません。私が参加するのはこの30分で如何に良い治療ができるかいわば武者修行のようなものです。最後には「どうですか?」と治療を受けた方に訊かなければなりません。そこで良い答えをもらえるかどうかが一番重要です。今回の結果はまずまずでした。治療内容は 肩こりや腰痛といったもので紹介するほどのものではなかったので割愛します。
心に残るものとして 最後に肩こり・腰痛をした患者さん(20代女性)が私の居ない処で言った一言。「おっちゃんに治療してもらって良かった!」良かったって言ってくれるのは嬉しいけど、おっちゃんって間違いではないけど、せめておじさんとか言いようがあると思うが・・・。
はり灸三昧の2日間でした。また来年も参加します。
ママの味方 小児はり
今回は 小児はりのお話です。
鍼灸うえだが開院してすぐから来院している女の子、もうじき4歳。活発すぎてママの手に負えない。頭の回転も速いので色々と振り回されているらしい。今までその時々の症状を訊き、小児はりで対処して何とか2年半治療してきたけど、先日ママから「この子1週間のうち1回か2回 朝の寝起きの機嫌がすごく悪い時があり、その時は30分くらい物を投げたり暴れたりします。その後は気がスーとするのかケロッと機嫌が良くなり何事もなかったかのようになります。親としては朝一に暴れられるとその日一日しんどいです。」とカミングアウトされました。ガーン! 衝撃的事実。「先生、私はどうしたらいいですか?」どうしたらいいって言われても・・・。「お母さんはすることはありません、今まで頑張っているのは知っていますから。朝の機嫌が良くなるようにするのは治療者側がすることです。小児はりで何とかやってみましょう。」とお母さんには返事しました。
お母さんには返事をしたものの如何したものか。朝暴れるということは 朝起きた時にはイライラしているってこと。じゃあそのイライラをとれば朝に暴れる行為もマシになる?その発想の元、色々な専門書を引っ張り出して有効なツボを探していく。調べればあるものですね、たくさん。そこで見つけたツボは 身柱(しんちゅう)命門(めいもん)。これらのツボはもう昔から小児の治療には外せないツボ。中にはこの二つのツボで小児は治るという有名先生もいるほど。あらためてツボの重要性を再確認しました。私はそれにもうひとつツボを加えました。そのツボは百会(ひゃくえ)頭のてっぺんにあります。ここは陽気が集まる処・・・。私は「気」を信じないのでそんなことは言いませんけど。イライラはマシになるツボのようです。
次の日その子は来院しました。いつものように機嫌よく小児はりを受けてくれる。その治療の中に身柱、命門 そして百会のツボを意識して治療していく。傍で見ていたら普段とそんな違いもない。お母さんには「今日は前回聞きました朝一暴れる治療もしています。様子を見ておいてください。」と一言。それから1週間経ちました。その間にも鍼灸うえだに通っていただいてますが、朝一暴れる症状は無いようです。相変わらずお母さんはその子に手を焼いておられるようですが。朝一暴れるのが無くなっただけでもお母さんには少し楽になったようです。よかった、よかった。もっと早くカミングアウトしてくれたら良かったのに、それがショックかな。
お母さん、育児は大変です。相談した何か変わるかもしれませんよ。
咳は風邪からとは限らない
今回のテーマは「咳」です。咳というと思い浮かべるのが「風邪」ですが、風邪じゃなくとも咳がたくさん出ることだってあるんです。小児ぜんそくとも違うんです。
7月12日、この日は二か月に一度行われる臨床家育成会の日でした。臨床家育成会というのは読んで字のごとく鍼灸師を育成する講習会、鍼灸師になるべく国家試験は合格するものの いざ臨床で患者さん相手に施術となるとそううまくいかない。そんなことが無いよう実技重視の講習会なんです。
今回のテーマは「刺絡」三稜針という鍼を使って患者さんを施術していく。ホームページを見ていただくとわかりますが、三稜針で皮膚を切った後、吸玉をしていく治療なんです。午前中 刺絡の座学を行った後、午後からは実技開始。今回は森ノ宮医療大学の1年生が見学に4名。そのうちの2名が鍼灸の実技のモデルになってくれました。私のモデル患者の彼、症状は「咳」。もう2ヶ月もでてるらしい。あまりにも治らなくてお医者さんに行って薬を飲んでいるけど一向に変化なし。この「咳」どうかしてください!というのが主訴。問診しているとすぐにピンときました。「腹からくる咳」だと。
この「腹からくる咳」には特徴があります。まず本人の風邪の自覚なし。咳は出始めると比較的続けて出ます。続けて出てむせるくらい出ます、キツイ時は胃の内容物をもどします。これらを患者さんに尋ね該当しているとビンゴです。今回もこれらの質問をしましたがすべてビンゴでした。
「腹からの咳」といっているように胃腸の治療が主体です。間違っても風邪の治療では治りません。
一番わかり易いのは仰向けに寝かせてお腹を診る。大師流でいう腹部打診をすると大抵鳩尾(みぞおち)付近でポンポンとガスの音がする。このガスを下方にもってくると咳は治まってきます。
この患者さんは咳の症状がきつく下向きに寝るだけでも咳が酷くなる。仕方がないので取りあえず足三里と、上巨虚穴に鍼をします。この足の三里は胃に上巨虚は腸に効きます。この患者さんは三稜針が合う身体なので三稜針でポンポンとツボを叩くとそれだけで咳が減り「楽~」て感じ。それでもって下向きに寝てもらったけど咳は出ず。それから胃の治療、腸の治療でツボに三稜針をポンポンと打つがどれも気持ちいい~。もう一度上向きになり腹部打診をするが鳩尾のガスは下がっている。
患者さん「もっと早く鍼灸すれば良かった」と大感動。いい講習会のモデルでした。今回の三稜針は鍼の先を丸めてあるので皮膚を切ることなくもちろん出血も見ない。ものの15分くらいの出来事でした。
お題の通り「咳は風邪からとは限らない」ということです。これから足元がクーラーなどで冷える季節、お腹のガスは鳩尾に集まりがちです。足元は温かくしてください。
ブログ「体調が悪いのはガスのせい」も一緒に読むとよりガスの事がわかり奥が深まりますよ。
顔面の症状には首の治療が大事
今回のテーマは「顔面の症状」です。顔面の症状?何それって感じですが、私の言う顔面の症状は鼻・耳・目・口の症状です。例えば鼻炎であったり、目がショボショボしたり、耳鳴りがしたり、歯茎が浮いたりといった諸症状のこと。今までの臨床経験上ポイントは首のコリです。症状によって首でもこる位置が微妙に違うのですが大まかにいえば首のコリです。首のコリがとれれば気になっている愁訴はとれます。顔面の症状はその人の一番弱いところ、それは鼻であったり、耳であったりします。多分凝ってくるとこんな症状が出るってだいたい決まっていますから。
前の職場で私がずっと診ている患者さんがいました。その患者さんは「いつも首が気になる」とか「首のここに大きいやいとしてください」とか首に関してよく訴えていました。(その処はア門穴)その頃駆け出しのころで首を触っても何にもわからずただ患者さんの言われるがままにしていましたが、患者さんの言う通りにすると満足されるのでした。だんだんと言われるがままというのも嫌になり自分でどこが悪いか見つけてやろうと思い色々と触るとその患者さん、そこは目に効くとかそこは鼻にくっついている何かが取れる感じとか色々と感じたままに言ってくれるんです。その時に思ったのは「首は顔面の症状と関係がある」ということでした。その患者さんにはそういう面で色々と教えていただき良い勉強ができました。それから色々な患者さんを治療する際「先生、なんでこんな風になるんですか?」と問われることも多いですがその時の経験で「首のコリです。首のコリが取れたら症状も取れますよ。」とハッキリと言うことができます。
そうそう首のコリですが、その患者さんその頃で60歳は越えていたと思うのですが、白髪の女性の方でした。1週間に1回私が治療していました。前述している通り首をしっかり治療している(他の処もしっかりとしていますが・・)と首のところから後頭部にかけてだんだんと白髪から黒髪に変化していきました。患者さんがびっくりされていたことが思い出されます。
ついでながら首の治療を行うと「小顔効果」も期待できます。首の付け根(上天柱穴・後頭部あたり)が凝って血液循環がわるくなると顔のむくみがでてきます。首のコリをとると血液循環がよくなりむくみが無くなるつまり小顔。もちろん首のコリをとると各症状が改善できる。まさに一石二鳥です。鍼灸うえだでは 美容針はしませんが、首のコリをとることは治療上しているので「小顔」にもなれると思います。
顔面の症状 色々ありますが もしかしたら首のコリが原因かもしれませんよ。
「健全な肉体に健全な精神は宿る」という言葉
「健全な肉体に健全な精神は宿る」という言葉を私は大切にしています。この言葉、鍼灸学校1年の時に衛生学で習った言葉。授業の時は ヘェ~そうなんだ くらいしか思っていなかったけど鍼灸の臨床をしているとこの言葉の意味が分かってきます。病んでいる患者さんがだんだんと良くなっていくと考えも前向きになりやる気も出てくる。連鎖反応で身体の方ももっと良くなって来て・・・と良い循環ができてきて心も身体も良くなってくる。やっぱり心と身体は切り離せないものなんですね。病は色々あります。治し方も色々です。我々鍼灸師ができることは身体を治すこと、でもただ身体を治すのではなく、身体を治すことによって精神(心)も治すことができるのです。私はこの「健全な肉体に健全な精神は宿る」という言葉を支えに患者さんを治療することはよくあります。
うつ病やパニック障害の患者さんにはこの言葉を伝えます。健全な肉体になることが症状を治すことだと伝えます。
現在うつ病の患者さんが来院されていますが鍼灸治療を始めてだんだんと日常生活に変化が現れたようです。何もできずに一日過ごされていた毎日に少しずつ何かやれる、やりたくなるようになるみたいです。
そうそう以前お母さんが自分の子供をタンスに押し込めて子供が亡くなったという事件の報道を見ました。親が自分の子をタンスに押し込めるなんて・・ありえない と思っていましたが、考え方を変えて もしお母さんが疲れていたら?おかあさんが体調が悪かったら? やはり健全な精神ではいられなかったのではと思ってしまいます。誰も知り合いの無い都会でずっと赤ちゃんと一緒。赤ちゃんはお腹が空いたで泣くし おむつが汚れたで泣くし、お母さんも疲労でまともな精神状態ではなかったのかも。
身体を治すのが私の仕事、「健全な肉体に健全な精神は宿る」と信じて治療します。
今回は日常的に患者さんに言っている言葉を取り上げてみました。