これって胸郭出口症候群?

 胸郭出口症候群、鍼灸学校で1年生の時ならった、ライトテストとかするやつ。もう20年以上も前のことなのでうろ覚えで思い出すのがやっとという状態。「肩や腕が痛む、それだけでなくだるさ痺れを伴い手がむくむ、冷えるといった血液循環障害がある」といった症状かな。

今回は整形外科でその胸郭出口症候群と診断された患者さん。お仕事は設計の仕事で細かい作業が多い。仕事を一生懸命していたら手が痺れてきた。診察してもらうと「胸郭出口症候群」と診断された。でも色々あって治療には至ってないらしい。前述したとおり症状がうろ覚えだったので「どんな感じ?」と尋ねると「座って手に力を入れると入るんですが、立つと手に力が入らなくなるんです。」とのこと。エッ胸郭出口ってそんな感じだったけ。少なくとも手は挙げてないぞ。それにその姿勢の変化は上半身はあんまり変わっていない。どういうこと?と頭の中でグルグルと「はてな」マークが出てくる。それって胸郭出口じゃないんじゃないの。じゃあどこが悪いの?エ~どうしよ。と少し焦り気味。問診が終わり触診。とりあえず前腕を触ってみる。何でこんなに硬いんだ。「今日何か持った?重いもの」「いいえ」「ずいぶん前腕硬いよね、いつもこんなん?」「はいそうです。」奥さんも一緒に来院だったので奥さんにも訊いてみたら「いつもこんなんです、たまにマッサージするけど柔らかくならないんです。」前腕の筋肉の奥の方がカチカチ、これなら血液循環悪いかな、これを柔らかくするとマシになるかなという感じで肩・首の治療を始めた。皮膚が硬いので三稜針を使うのだが、出血をみるほどではないので中くらいの三稜針いわゆる中三でパカパカと肩・首を打つ。この患者さんは鍼灸初めてなので鍼灸のイメージを悪くしないようなおかつ効果を出さないと!!
中三で打っていくとだんだんと首肩が柔らかくなっていく。ついでに前腕を触診すると明らかに先程と違う。柔らかくなっている。患者さんに「今 手の感じどう?」「何か軽いです」「じゃあ立って手に力を入れてみてよ。」「先生 力はいます。」「良かったね。」というような会話が続きました。手にはまだ鍼もしていない状態でしたが、首肩の治療で変化があったようです。

患者さんは痛い処を訴えますが、痛い処と治療する処は違うことも多いです。基本的に手は頸椎や胸椎、足は腰が根っこです。枝葉ばかりを見ていないで根っこを治さないと症状は完治しません。
前述の患者さんはまだ初回なのでまだどうなるかわかりませんが、喜んでお帰りになりました。
私も昔の教科書を見直そうと思った1症例でした。でも鍼灸って不思議ですね。

最近の失敗(ぎっくり腰)

日々患者さんを少しでも良くしようと思って治療していますが最近治療の失敗がありました。反省を込めてアップしたいと思います。
京都マラソンに参加予定の患者さん、本番2日前に右腰がぎっくり腰になりそうと来院。この患者さんは刺激の質でいけば 三稜針(鍼で皮膚を切って吸玉かけて血を抜く治療)がいいかなと思ったけど2日後には42.195キロ走るんだ~、じゃあ三稜針は少し刺激が強いかなと思い直して毫鍼治療に変更。もちろん帰り際には「良くなった」と言う声を聴いて終了。京都マラソンが終わっていつものメンテナンスの電話があり「無事走ったけど、治療の翌日腰が痛くなった。」「マラソン本番では痛み止め飲んでたからなんとかいけた、昨年より記録が上がった。」なんてガックリ。今回は鍼灸の効果がなかったのねなんてね。メンテナンスで診た彼の腰はやはり三稜針がよく合う皮膚でした。その日の治療は刺絡で腰の治療をしましたが、ドロッとした血液が出るわ出るわ、これじゃあ痛いよねて感じでした。結局翌日も治療して長引いた腰痛でした。変に頭で色々な事を考えたのがいけなかったのでしょう。触診して感じたままに治療をしないと失敗してしまう一例でした。
そう思っていた矢先またもやぎっくり腰になったと別の患者さん。よし今度は失敗しないぞと治療をしました。刺激はやはり三稜針、刺絡ですね。よく考えればぎっくり腰って「腰椎捻挫」なんだから迷わず三稜針使ったらいいのに、へんなこだわりがあったかな。ぎっくり腰はスッキリになって帰っていただきました。ただ、この患者さん2日前に来院されているんです。前回の治療の2日後にぎっくり腰になるなんて前回の治療で何を診ていたのか反省です。だんだんと良くなることを目指しているのに治療がマンネリだったのかなと反省です。

次回は、ばっちし良い治療の報告をアップしたい思います。次回は頑張る!

帯状疱疹には鍼灸を。

今回のお話は「帯状疱疹」、よくヘルペスと言われていますね。帯状疱疹には是非鍼灸で治療して欲しいのです。なぜかと言いますと・・・。まず帯状疱疹のおさらいからしましょう。子供の時に大抵の人は水疱瘡にかかります。水疱瘡自体は治りますがそのウイルスは身体に残ったままなのです。そのウイルスが三叉神経や脊髄神経の知覚神経節に潜伏しています。普段では何にも起こらないのですが、ストレスや過労などで身体が弱った時に活動を始め、神経に伝わって皮膚に現れ炎症を起こします。これが帯状疱疹です。神経に沿って現れるので帯状に出てくる疱疹なので「帯状疱疹」。
日頃から良い睡眠を摂っている、疲れをとっていると帯状疱疹になることなんてまずありません。あんまりお疲れ様にならないでくださいね、3月は決算が多いし・・・。鍼灸治療は鍼やお灸をすることで全身の血行を良くして日々の疲れもとってくれます。つまり鍼灸をしていると「帯状疱疹」にはかかりにくいということですね。あと鍼灸治療は痛みにとても有効であるということ、まして神経痛などは鍼灸治療の適応のど真ん中です。「帯状疱疹」は水疱が治った後も神経痛だけが残ります。鍼灸治療で帯状疱疹を治療するとあとの神経痛も一緒に治療できるのです。以前大師はり灸療院で仕事をしていた時 5年前に「帯状疱疹」になった、その後の神経痛がピリピリすると来院された患者さんがいます。治療後は少しマシなんだけどピリピリはスッキリとは取れなかったように伺いました。

今回の患者さん、もちろん「帯状疱疹」です。年齢は10歳。こんなの初めて。10歳なので取りあえず小児はりで全身の疲れをとるように治療。次に帯状疱疹に向けて更なる治療。水疱は左の腹部にある。水疱には触れず肋間神経に沿って小児はり。あとテイ鍼を使って胸椎左際を圧鍼。あとは早めに就寝するように指示。10歳でも帯状疱疹になるんだ~と言うのがめちゃくちゃ印象的。

そうそう昨年の秋に臨床家育成会のメンバーと治療大会をしてた時、一人のメンバーに左脇に水疱らしきものが・・・。「ヘルペス?」と一瞬よぎったので水疱らしきものをしっかりと確認。確認の目的はたまに「虫刺され」があるんです。ただ「虫刺され」の場合は刺された跡が2個付いていることが多いんです。確認したけど「虫刺され」ぽくないので、とりあえず「帯状疱疹」疑惑のまま帯状疱疹の治療をしました。後日に本人より「治療の後すぐ水疱はなくなった、その後の神経痛様の痛みもない」と報告を受けました。ヘルペス?虫刺され?疑惑は残りますがあと何もなければその時の治療は無駄ではなかったと思っています。

先に書いたように疲れを溜めこむと帯状疱疹になりやすいです。やはり疲れたなと感じた時は早めの就寝もしくは早めの鍼灸治療をお勧めします。

不妊治療の患者さんから赤ちゃん誕生しました。

鍼灸うえだでは[不妊治療します」と宣伝はしていませんがお悩みの方には通常治療に加えて不妊治療をしています。当院第一号の不妊治療の患者さんから赤ちゃんが誕生しました。おめでとうございます。不妊治療と言っても大したことするのではないのであんまり大々的に言えないんですね。まずはお母さんの身体をいい状態にすること。特に足腰を温かい状態に保てるよう鍼灸治療を施すといったところでしょうか。

今回は赤ちゃん誕生と共に訪れる育児について少しだけ書いていきます。私が推奨する妊婦さん生活はまず体調良く過ごすこと。出産には体力が要ります。いざと言う時の為に体力温存。お産の時間は人によって異なりますが出来るだけ早い方が体力を消耗しません。前の職場で長時間お産にかかったママさんの話を聞きましたが、無事出産が終わり、やれやれと思った時に「は~い、赤ちゃんですよ」と看護婦さんから渡されたとき、「一瞬ムカッと来た!」と言われていました。男性では想像できませんがそういう気持ちにもなるんですね。出産が終わるとその時点から育児が始まります。やはり赤ちゃんはママでないとうまくいきません。やっぱり体力、体力。
新生児でよくあるのが昼夜逆転。お昼はスヤスヤと眠ってくれるのに夜になるとおめめがぱっちり。ママは赤ちゃんにお付き合いしなければなりません。泣くのは気になるし、夜泣くと泣き声がご近所に響くし、パパには稼いでもらわないといけないのでとりあえず寝てもらって・・・。昼夜逆転は小児はりで良くなります。一度お試しあれ。あとは乳吐き。一気にお乳を飲んだりして、胃腸が少し悪い状態なんかでなります。(赤ちゃんも人間ですから胃腸の働きが悪くなったりするんですよ)
でも一番気をつけてほしいのは「赤ちゃんのゲップ」。ママは赤ちゃんのゲップ出していますか?これくらいいいやとか思わず、しっかりゲップを出してください。赤ちゃんはお乳を吸いながら空気も一杯吸っています。ゲップを出さないとお腹がパンパン。お腹がパンパンだとお腹が張ってきて気分悪い、眠れないといった悪循環を引き起こすのです。そう夜泣きとも関係があるのです。だからママは頑張ってゲップを出してあげてください。それだけでも育児が楽になるかも。

現在、育児うつになるママが増えているそうです。今までお腹の中でしっかりと大きくして、これから実際に育児ができるのに、育児うつなんて・・・。昔、患者さんから興味深い話を聞きました。「子供って3歳までに親孝行するんだって。」3歳までは親の言うことをきき、寝顔は天使のよう、「親になって良かった!」と思うことって多いですよね。その3歳までにいい子育てをして欲しい。
育児が楽しいとは断言はできませんが、できれば楽しいと思ってしてもらいたい。それはママやパパの笑顔が赤ちゃんをもっと笑顔にするから。
新米ママさんはとりあえず「ゲップ」を頑張ろう、ダメならもう小児はりですね。

あなたの睡眠は良い?

今回は「睡眠」です。風邪やインフルエンザが流行っているこの頃、風邪などもらわないためには充分な睡眠が必要です。身体を良くするのは薬でも注射でもなくもちろん鍼灸でもありません。一番は「睡眠」です。睡眠こそが身体をいつもいい状態にしてくれるのです。「睡眠は?」といって「8時間寝てるから大丈夫」とか思ってはいけません。量ではありません、質です。3時間しか寝てないのにスッキリという時もあれば、10時間寝てもスッキリしないということもあります。質が大事。今日の睡眠が良かったか悪かったか判断するには 目覚めも感じ で判断するのが良いでしょう。スッキリと起きられた時は一日活動しやすいと思います。

話はここから。じゃあ、睡眠の質はどうしたら良くなるの?となりますね。深い眠りができればいいのですが・・・。まず胃の調子が悪い時は眠りが浅くなってしまいます。暴飲暴食の後はまずダメですね。それからお酒が入りすぎると寝入りは良いけど途中で起きてしまいます。最近よく言われている就寝2時間前までに食事を済ませるというのがいいですね。あと寝るだけだからあんまり本当は食べなくてもいいんだけど日本人は夕食重視スタイルなのでつい胃に負担になっちゃいます。鍼灸うえだでよく言う「ガス」が多いと眠りが浅くなります。よく夜中に1回起きたら目が冴えて寝れない という症状があります。これもガスです。赤ちゃんの夜泣き、これもガスの可能性があります。ガスを下げる治療すればスッキリと寝れます。
次に首・肩の凝りです。特に後頭部の凝りは睡眠を邪魔します。日々の臨床的には鍼した日は凄く良く眠れると言われます。
あとは「想う」ということ。よくあるのが「眠れない」のでじゃあ「あのこと」について考えよう。考えていくとだんだんと眠れなくなってしまう。その悪循環です。皆さん経験があると思うけど一旦起きて眠れない、「どうしよう、どうしよう」と思っていたら眠れなくて「もういいや」と思ったら寝てたなんてこと。頭を空にすると寝れます。

たまにどんな姿勢で寝たら寝れますか?なんて質問があったりしますが、自分が楽なように、リラックスしないと寝れませんから。足元が冷える人は靴下でも履いてください。気になると寝れません。靴下は嫌 と言う人もいますが足元が冷たいと寝れませんよ。患者さんには「タダだからやってみて」と勧めています。
寒い夜が続きます、温かくして寝て明日また頑張りましょう!

肋間神経痛は痛いよ

今回は肋間神経痛です。実は昨日 うちの娘が学校を早退。なんと原因は「肋間神経痛」のよう。先日から「胸の辺りが痛い。」と訴えていたのですが、鍼灸治療しようとするとどこぞへ行く。早く治療すれば早く治るのに昨日は本当に痛かったよう。咳をしても笑っても痛かったらしく担任の先生が早退させたようです。神経痛に鍼灸は非常に有効です。痛みに対して即効性があること、直接患部に鍼や灸をすることで劇的に良くなります。「痛い!痛い!」がすぐ無くなるくらい。前の職場でも多くの肋間神経痛の患者が来られました。多いのは胸 特に左側お乳の辺り。だから大抵心臓の疾患と思って病院に行き心電図とかとるけど何とも無いよというケースが多いです。心臓でないのならと鍼灸院に来られるという訳。

うちの娘は右側の胸。触診すると「痛い」とやっぱり言うし、胸全体の腫れが左右違う。触診してまず胸から鍼を打つ。触って過緊張の皮膚の部分はやはり異常なのか鍼を刺しても痛いとも言わない。肋間神経痛は字のごとく肋間に沿ってなのできれいに肋骨に沿って鍼を打つ。少しの間鍼を刺したままで刺激(置鍼)。その後うつむきで背部の治療。ポイントは肋骨の正中線の際。痛んだ肋間神経痛の大元のところ、やっぱり反応がある。そこに鍼を打ち背部の方も肋骨に沿って置針。触診して過緊張が取れてきたら終わり。治療後「痛く無いわ」だそうです。早く治療しておけばこんなに痛くならなかったのに。

肋間神経痛は突然やってきます。前述したとおり胸の病気と間違えることが多いです。胸の病気も危ないので早い時期に医療機関で一度見てもらうことをお勧めします。あとお疲れの多い方は帯状疱疹(ヘルペス)なんかになるのでご注意を。ゆっくりの睡眠をとってください。

口の中が痛くなったら使ってみて。

口の中と言うと思い浮かぶのは虫歯。虫歯はやっぱり歯医者さんに行かないとね。でも急に歯茎が腫れたり、虫歯じゃないけど痛いって時がありますよね。そういう時ってだいたい休日か夜。口の中が痛いのって困りますよね。頭に近いから最後には頭痛まで起きちゃってなんてね。

そんな時鍼灸のツボを使いましょう。前腕部(大抵の場合痛んでいる側の手を使いましょう)手の陽明大腸経という経絡があり「温溜オンル」というツボが有効です。でもツボってなかなかわからないですよね。そこですっごくいいツボを教えちゃいます。私のブログでもYNSAという頭皮鍼の話を書いたことがあります。でもこれはYNSAではないんです。私がYNSA講習会で頭にする鍼を習った時に面白半分にいろいろ試していたら偶然発見しました。

その日は急に左の歯が痛くなりました。虫歯の痛さとは違うのですがとことん痛い。涙でそうくらい。今まで使ったツボ 温溜(上記記述)を使ってみましたがすごい効果は無し。頭皮針を勉強していた私は頭のどこかに効くツボがあるだろうと探しました。するとちょっと触れただけでもすごく痛い処を発見。そこに鍼を刺入してしばらくすると今までの痛みが嘘のよう。再発もせず現在に至っています。もう3か月くらい前のことです。

先日私たちが主催している臨床家育成会の講習生から「先生 歯茎が腫れて痛いです」との知らせ。当日はお口の中にお灸をするという凄腕先生が来られていたのでまずはお灸からチャレンジ。そのあとすぐに私の頭の鍼2本。お灸との相乗効果があったのか鍼のあと腫れがましになったようです。経過が知りたかったので飲んでる写真をフェイスブックにあがっているのをつかまえて状況を訊きました。次の日には腫れはかなりひき楽になったようです。凄腕先生からは1週間の禁酒通達でしたがその日にもう飲んでいたようです。効果てき面かな。

その臨床家育成会が終わって帰宅すると嫁さんが「歯が痛い」今日は大入り御礼か。「しめしめ、いいツボを知ってるぞ」と嫁さんにしてみるとこれまた「マシ~」これだけ効いたら公表しても大丈夫かな。

その場所は経穴のツボにはないようです。どこかというと患側(痛みがあるほう)の頭のてっぺんから耳に行く方向に指4本(親指以外)で軽く触っていくと違和感を感じる処があります。ついでに押してみるとすごく痛いそこに鍼灸師さんなら鍼してください。(鍼灸師さんの閲覧が多いようで・・・。)一般の方なら爪楊枝で押さえてみたら効くのでは?痛いのはいや、早く痛みが止まるのを祈っています。

 

めまいに困っていませんか?

鍼灸院ではめまいの症状の患者さんが多いです。もちろん鍼灸うえだでも一緒ですが・・。患者さんがめまいと言われる中に2種類の形があるように思います。一つは回転性めまい・・ぐるぐる目が回って立っていられない、気分が悪くなるといったもの。もう一つはふらつき・・一瞬ふらっとなり立っていられなくなる、よくあるのが椅子から立った時にフラッとするもの。どちらも当の本人にはつらい症状です。

鍼灸院では首や肩の凝りが原因と考え治療するケースが多いです。中には私は首肩が凝らないという人もいますがそういう方は大抵凝っています。ただ自分で自覚がないだけです。鍼灸うえだでは首や肩の凝りを解消する治療でめまいやふらつきがなくなってきます。初診患者でふらつきを主訴とされた女性の方でしたが、治療の終盤までまだおかしい、ふらつくと言われていた方が最後首に1本鍼を刺入したら突然「ふらつきが止まった!」と言われました。その後発症はないようです。

現在も治療中なのはずっと立っているとふらついてくるという男性患者さん。本人は肩こりを感じません。鍼灸治療をする前は2回めまいで救急車で運ばれたそう。でも原因はわからずじまい。奥さんが肩こりで鍼灸を利用されるので鍼灸でなら治るかもと来院。最初は鍼の入れた感じもわからずでしたが、症状改善もイマイチ。3回目くらいから今までと少し違う、ふらつきの程度がマシと通院中です。

私はめまいに鍼灸治療は効果的と考えています。首や肩が凝るからという原因であることも確かです。ただ手を良く使って凝ってきたのか、それとも内臓からの凝りなのか。使った凝りなら心当たりがあるはずです。心当たりがないのによく凝ってる、単なる物忘れなのかそれとも内臓からきた凝りなのか。よくあるのが鍼灸うえだでよく言う「ガス」です。ガスの影響で首や肩が凝ってくる、となると「ガスの治療」胃腸の働きを良くすることになります。そうすることがひいては「めまい」の治療となるのです。

めまいが続くと外出するのが怖くなります。いつどこで起きるかわからない不安で一杯です。中には[持病だから」という方もおられますが一度鍼灸治療をお勧めします。

 

 

寒い冬は神経痛になる

明けましておめでとうございます。と言ってももう15日ですが・・・。(随分遅い)今年も元気に鍼灸の良さを発信していきます。

我が家の近年の初詣は干支にちなんだ神社仏閣を巡ることにしてあります。昨年は午年で京都の藤森神社、今年は羊年で京都の法輪寺(虚空蔵法輪寺  嵐山)に行きました。着いて間もなく雪がチラチラ、天気予報はよく当たるなあと思っていたら近くの渡月橋を渡る頃には横殴りの吹雪に。ぼたん雪でみるみる間に10㎝、15㎝と積もっていきました。関西で初めて見る雪の積もり方でびっくりしました。ちなみに実家の山口では当たり前ですけど・・。やっぱり京都は寒いと思ったお正月でした。

昨年の12月くらいからぐっと寒くなり鍼灸うえだでも神経痛の方の来院が増えました。今までそこまで感じなかった痛みがよくわかるようになったと患者さんが言われていました。中でも多かったのは坐骨神経痛です。坐骨神経痛というのはお尻から足の横や後ろ側に現れる痛みや痺れの症状を言うそうです。この痛みがすごく痛い。もう「痛い」としか言わない患者さんもいるくらいです。この痛みをどうかしようと日々頑張っているのですが・・・。

今までの坐骨神経痛の治療としては一番の根元である腰の治療とお尻・足の痛みの走行に鍼やお灸をします。経過はだんだんには良くなっていきますがもう少し早く良くなって欲しい。そこで灸頭鍼 そう鍼の上にもぐさを乗っけて燃やすというやつです。ただ灸頭鍼はもぐさを安定する為にどうしても鍼が深くなってしまうので椀灸(お椀の形で中に灸頭鍼のもぐさを入れて燃やす、中は穴が開いていて輻射熱はちゃんと効きます。触診して左右差があり冷たい部位に椀灸で温める。これが結構効果的。来院時は「痛い、痛い」と言っていた患者さんも終わる頃には「あっマシ」と声を上げます。神経痛は温めた方が気持ち良かったり痛みがとれたりするのでこの椀灸は良くききます。またもうベッドで下向きにもなれない患者さんは横向き。その時は棒灸を使います。鍼灸うえだでは棒灸は患者さんに古いバスタオルを置いてその上から棒灸を押し当てます。程よい暑さで気持ち良い。身体が傾いているので椀灸が使えないので棒灸を使う。現在この棒灸も人気です。

表題のとおり寒い日は神経痛が良く現れます。ご自宅の場合はお風呂で温まる、使い捨てカイロを貼るといった寒さ対策が痛みを緩和します。これから本格的な冬 20日は大寒 寒くなります。くれぐれも気を付けてください。

喉に刺さった魚の骨をはり灸でとる

今回のテーマは「はり灸で喉に刺さった魚の骨が取れるか?」です。だんだんと路線が変わってきてますね。

午後4時前にその患者さんがやって来ました。現在診察室では他の患者さんを治療中で今日は午後4時には患者さんが来る予定はないはずなのに。何事と待合室に行ってみると常連の患者さんがそこに。「どうしたんですか?」と訊くと「魚の骨が喉に刺さった~」と言われる。また「そのおかげがすごく肩がこる~」とのこと。喉に魚の骨が刺さったのなんかはり灸でしたことないし、今までそんな患者さんいないし・・・・。その患者さんは実母の介護をするために実家に泊まったりされていて体調自体良くない、耳鼻咽喉科で見てもらっても絶対魚の骨をとってくれるかわかんないし、とりあえずはり灸に来たという訳です。常々「具合の悪いところ何でも言ってね。」と言っていますから。

そこで私は「では今日はいつものはりと違いますよ、できるだけのことをやってみましょう。」と魚の骨取り除き大作戦を敢行しましたた。この患者さんはとても弱い刺激で充分に効果があるので鍼は刺入しません。針先を当てるだけでも身体は変化するタイプ。毫鍼で肩や首のこりをほぐした後鍉鍼(刺さない皮膚に当てる鍼)をこりの反応点に当ててこりをとっていきます。それだけでもこりはとれていきます。次に上向きで寝てもらい喉を触ると右側が少し腫れている。たぶんこの辺りに魚の骨があるんだろう。その部分に鍉鍼を軽く当てます。腫れが少し小さくなったことを確認し右の手の三里にも鍉鍼、ここも反応があります。ついでに頭にも(山元式頭皮針)鍉鍼を当てました。患者さんも少し余裕がでてきたのか「先生こんな患者さんいる?」て、生まれて初めてです。うつむきの姿勢になり肩甲骨周囲のこりも治療しときました。全部の治療は10分かかってないと思います。「さあ今どうですか?」緊張する一瞬です。その時患者さんは「あ~のどが痛くない」と言われました。思わず「魚の骨とれた?」と訊きましたが「違和感があるからまだあると思う、でも喉が痛くないから楽~」という具合に。喜んで帰られました。貴重な体験なのでもちろん無料です。いい体験でした。

2日後にその患者さんを普通に全身治療しました。患者さん曰く「魚の骨は夜にご飯を食べてたらすぐ取れた、よかった。」もちろん、はりをする前にもごはん作戦はされたそうですが全く効き目なかったそうです。鯛の骨だったらしく硬いので痛くまた喉の奥の方で刺さっていたようです。なにはともあれ良かった。今回の件は、はりで良くなったのか疑問は残りますが喉の痛みはその場で良くなったようです。はり灸は何でも効くか!年末は忙しいけど魚の骨には気を付けてくださいね。