今回のテーマは「自分にはどんな鍼が合うのか」がテーマです。
「鍼」といったら 皆さんご存知の 刺す鍼 ですよね。鍼が体じゅうに刺さったイメージ、なんか痛そう。でも鍼って刺す鍼ばかりではないんです。例えば「小児はり」。小児はりって刺さないんですよ。小児はりっていうと 子供に鍼 え~ 子供に鍼刺すの、かわいそうで嫌だ~って感じですが、刺しません。子供って1回でも痛いことしたらもう来院しませんよ、病院の予防注射を考えたらわかるでしょう。子供は気持ちよくって もっとして といった風です。
鍼には 古代九鍼といって9種類の鍼を用いて患者さんを治療していました。9種類ですよ、9種類。刺すばかりが能ではないということです。私は9種類も使いこなせない、刺す鍼と切る鍼 業界用語でいうと 毫鍼と三稜鍼 これくらいかな。でもこの2つを使い分けるだけでも大した違いです。
こんなことがありました。初診 女性 34歳。「吸い玉をして欲しいんですけど・・。」いきなり電話でお願いされました。「じゃ 取り合えず来てみたら」ということで来院。「何で吸い玉して欲しいんですか?」「私、肩こりで鍼灸院に通っていて1週間通ったんです。でも全然良くならなくて、鍼じゃなくて吸い玉が合うかなと思って・・。」「そうなんですか、でも吸い玉はできる人とできない人があるからね。それって身体を診てから決めていい?」「はい」「残念ながら吸い玉には向いていないと思うよ、そしたら提案で 最初に刺す鍼を(毫鍼)してみる、それで肩こりがとれないとかあんまり満足いかなかったら吸い玉してみる?」「じゃあ、それで。」治療しました。「どうですか?」「楽になりました。」「じゃあ 吸い玉無しね。」「え~残念。」吸い玉を体験してみたかったんでしょうね。すいません、融通が利かなくて。もう一度来院されて同じような感じになりましたが、やはり吸い玉は使いませんでした。ごめんなさい。
こんなこともあります。女性 37歳 左肩関節痛 挙上時に痛む。この患者さんは以前に前の職場で治療したことがあります。その時は 毫鍼を使って治療しました。治療の成果は覚えていません。何年かぶりに身体を診て「この体には毫鍼じゃない。」と思いました。一つは触る手の感覚です。触っている皮膚のかんじで 刺す鍼と切る鍼を使い分けます。簡単にいうと皮膚が薄いか分厚いか、イメージでは鍼が入りやすいか入りにくいかといった感じです。もう一つ決め手になるのは 家族はどうなのかということ。お母さんも弟さんも三稜鍼を使って治療します。「以前に治療した時は鍼を刺したけど、今回は切る鍼を使って吸い玉をしますね。」と了解をとり、吸い玉を使った治療を始める。(吸い玉を使った治療は「刺絡 しらく」という鍼灸師ができる治療法です。) 「治療後はスッキリした。腕の挙上は8割くらい良くなった。刺す鍼と刺絡は治療を受けた感じも違う。」と言われました。
以前にも「合う鍼」について書きましたが、合う鍼によって治療効果が格段に違うように思います。その人が持つ体質
(刺す鍼が合うのか 切る鍼が合うのか お灸が合うのか)によって変わってきます。
合う刺激であれば 痛くない むしろ 気持ちいい ということになります。
ずっと通う治療院ならなおさら「気持ちいい」治療がいいですよね。