世の中には「ぎっくり腰」なるものがあります。西洋では魔女の一突きなどと言われるそうです。急に起きた・ギクッといったとか患者さんは言われます。そしてぎっくり腰は癖になるからねなどとも良く聴きます。癖になるってことはまた起こるってこと。つまりは治らないってこと?いいえそうではありません。簡単に言うと最後まで治療しないからです。今まで数多くのぎっくり腰の方を診ました。痛い痛いと来院されます。ところが帰るときは結構良くなって帰られます。急性の症状ですから比較的早く症状も良くなります。逆に慢性病は時間が掛かります。2~3回ぎっくり腰の治療をするとほぼ本人いわく全快です。でも本当はそうではないのです。それは痛みが取れただけ。まだぎっくり腰で痛めたところに 鍼灸でいう硬結 が残っているのです。その硬結がなくなれば治療者のいう完治になりますが患者さんはそれが待てない。私はぎっくり腰の患者さんに「5回通って来てください。」と言いました。それを実行してくれる患者さんは10人中1か2人です。その方々にはぎっくり腰てホントに治るのねと言われました。5回中3回で良くなり後の2回が来れない。その2回がぎっくり腰の完治のタイミングなのに・・。本人は痛みがないし、ぎっくり腰で休んだ分仕事がたまっているし、あと2回なんて行けないなんでしょうね。後2回が来院できない方は大抵半年後には腰痛で来られます。でもその時の腰は以前診た状態とは違うので今度は時間が掛かります。今度は慢性腰痛扱いですから。
そうそうぎっくり腰になった患者さんに訊くとどうも「急に・・」ではないようです。腰に違和感を感じていた、腰が重い気がしたなどの感じがあるようです。そして決定つけるのが 腰のねじり です。違和感を感じているときに腰をねじったというのは最悪です。よく重いものを持ったときとか話にでますが腰に違和感のある人は慎重に重いものを持ち上げますからその場面では腰痛になることは少ないです。軽いものを持っているときに不用心に腰をねじる この場面が一番多いように思います。テレビのリモコンを置くのにそのまま腰をねじったとか日常的にありますがこのような時に多いと思います。ぎっくり腰で来院された患者さんが無理しても腰は痛くない、長時間車に乗っても違和感のないと感謝されたことがありますが、私は「約束通り5回来院していただいたからです。」とお答えしました。
急性のきつい症状(ぎっくり腰など)は一度治療にかかると完治するくらいまで頑張って治されることをお勧めします。もう少し良くなれば治療も終わりですから、途中で終わるとまた1からの治療と一緒です。特に腰は立っていても座っていても腰には負担がかかりますので。